電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

2019年上期日本映画ベスト5

2019年上期に劇場で観たのは109本、そのうち日本映画49本、ベストも小粒感あり。

「いちごの唄」

菅原伸太郎監督。東京の冷凍食品工場で働く笹沢コウタ(古舘佑太郎)は、親友・伸二の命日7月7日に偶然、中学時代のあこがれだったあーちゃん事、天野千日(石橋静河)と出会う。二人はまた来年の7月7日に会う事を約束するが…。銀杏BOYZの曲インスパイアな映画、峯田和伸もラーメン屋で登場。物語の引っ張り方もキャラも悪くないと思うのだけど、なんかテンポ悪い、メリハリがないのが残念。やはり、音楽インスパイアなのに何しろ音楽が活きてないからかな。石橋静河もイマイチ光ってない。7月7日、七夕、天の川、一年に一回、といい具体に設定ができていると思うのだけどなあ。長編初監督作品。

http://ichigonouta.com/

「Diner ダイナー」

蜷川実花監督、平山夢明原作。メキシコ旅行のために日給30万円の怪しいバイトに手を出したオオバカナコ(玉城ティナ)は、闇の組織に身売りされ元殺し屋のシェフ・ボンベロ(藤原竜也)のダイナーで働くことになる。そこは、スキン(窪田正孝)、キッド(本郷奏多)などの殺し屋が集まる店。そして、ボンベロの恩師ボスの一周忌がダイナーで行われる事になるが…。原作未読。蜷川実花のワタシはセンスあるでしょ風な押し付けがましい絵作りに辟易、うんざり感がつよい。「ヘルタースケルター」よりは多少マシか。物語はまあまあな感じなんだが、キャラの作りも演出も演技も酷い有様。原作はもっといいのかもしれない。全体に派手だけど退屈な映画の典型。料理が平凡で美味しそうじゃないのもかなり残念。

http://wwws.warnerbros.co.jp/diner-movie/

「エリカ38」

日比遊一監督。健康食品などを売っていたエリカこと渡部聡子(浅田美代子)は、平澤育男(平岳大)を紹介され、支援事業という名の投資話で大金を集め始めるが…。樹木希林の企画で遺作。浅田美代子は45年ぶりの映画主演、多分「しあわせの一番星」以来かな。60歳すぎで自称38歳「つなぎ融資の女王」山辺節子の事件が元になっている。話は結構面白いのだが、演出はちょっと安っぽすぎかなあ。展開やテンポももっと良くなれば、ずっと面白くなったと思うのだけど。役者も一部は安っぽい演技。浅田美代子はまあまあ頑張ってはいるけど。樹木希林は母親役。エリア51とは特に関係ない^^

http://erica38.official-movie.com/

「僕はイエス様が嫌い」

奥山大史監督脚本撮影編集。東京から雪国の小学校へ転校してきたユラ(佐藤結良)は、学校での礼拝に戸惑いを感じていたが、ある時、礼拝をするユラの目の前に小さなイエス様(チャド・マレーン)が現れる。そして初めての友達、和馬(大熊理樹)ができるが…。初の長編作。ファンタジーでも宗教っぽくでもなく、まるでスティーブン・キングモダンホラーの様に感じてしまった。そういうテーマの映画でもないようだし、なかなか掴みにくい作品だな。サンセバスチャン、マカオストックホルム、ダブリンと映画祭での受賞を考えると、海外視点では感じ方が違うのかもしれない。和馬の母親役の佐伯日菜子の落差ぶりがなかなか良い。

https://jesus-movie.com/

「新聞記者」

藤井道人監督、望月衣塑子原案。東都新聞にFAXで届いた医療系大学新設計画に関する極秘文書を、記者の吉岡エリカ(シム・ウンギョン)が担当する。一方、外務省から内閣情報調査室へ出向中の杉原拓海(松坂桃李)は妻・奈津美(本田翼)は出産目前。杉原は上司・多田(田中哲司)の元で現政権の情報をコントロールする任務で葛藤していたが、ある時、かつての上司・神崎(高橋和也)に呼び出される…。原案は未読、元TBS記者強姦事件、加計学園問題など実在の事件をモチーフにしながらの骨太な構成。海外だとこの位はフツーな新聞記者モノなんだけど、日本では貴重、リアルなピリピリ感を感じてしまう。何しろ、内閣情報調査室の情報操作が恐ろしい。シム・ウンギョンの絶妙な演技はいい。日本の女優でこの演技できる人いるのだろうか。松坂桃李も悪くないけど、内調・田中哲司の静かな悪人ぶりが凄まじい。

http://shimbunkisha.jp/

「凪待ち」

白石和彌監督。競輪中毒の木野本郁男(香取慎吾)は、恋人の亜弓(西田尚美)とその娘・美波(恒松祐里)と川崎から亜弓の故郷の石巻へ移り住む。末期ガンながら漁師を続けている亜弓の父・勝美(吉澤健)の家に世話になり、郁男は近所の小野寺(リリー・フランキー)の世話で印刷工場で働くが、あるきっかけで亜弓は遺体で発見される事になる…。香取慎吾のズタボロなダメ人間を演じるのだけど、それが板についていてなかなか良い。妙に不健康な太り方とか虚ろな目つきとか、何事にも雑な動作とか、こっちが本物じゃないのと思わせるほど。どこでマシな人間になるんだろうかとドキドキさせられる展開なのが面白い。ほとんどマシにならないのも凄い。白石和彌は連続して凄い映画作ってくるな。

http://nagimachi.com/