電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「ハスラーズ」-Hustlers-

ローリーン・スカファリア監督。NY、祖母のためにストリップクラブで働くデスティニー(コンスタンス・ウー)は人気のラモーナ(ジェニファー・ロペス)から稼ぎ方を習う。しかし、2008年のリーマンショックで景気は冷え込み、ディスティニー、ラモーナはエリザベス(ジュリア・スタイルズ)、メルセデス(キキ・パーマー)たちも仲間にし、ウォール街のエリートたちから金を搾り取る仕事を始めるが…。実話が元になっている。予告のイメージほどクライム映画な感じもしないし、もっと詐欺っぽい手口かと思ったが方法もベタ。女同士の関係性がメインの話になっている。被害者側にも加害者側にも同情できない、中途半端な作りになっている感じが残念。ウォール街側も、それほど悪い感じしないし、むしろ可哀想な人もいる。監督は女性で他に脚本や製作もやっているけど、監督作品は初めてみたかも。見所は、最初のジェニファー・ロペスのポールダンス。ここが凄くて、ここだけは$1札チップを18枚ぐらい投げ入れてもいいくらいの見どころ。

http://hustlers-movie.jp/

「グッドライアー 偽りのゲーム」-The Good Liar-

ビル・コンドン監督、ニコラス・サール原作「老いたる詐欺師」。インターネットの出会い系サイトを通じて知り合った老紳士ロイ(イアン・マッケラン)と未亡人ベティ(ヘレン・ミレン)。ベテラン詐欺師のロイは最後の大仕事で資産家ベティから全財産をだまし取ろうと策略をめぐらせるが…。原作未読。コンゲームものなので裏の裏の裏があるのは想像通り。ある程度分かっていても、そのゲームが楽しめる、面白い。展開の背景となる歴史と地理の広がり感も知的。イアン・マッケラン80歳、ヘレン・ミレン74歳の年寄り俳優の対決としても見せてくれる。この監督、ちょっと無難な線にいつも収めがちな所は残念だけどなあ。「ドリームガールズ」とか撮ってる割には映像も結構保守的。監督とマッケランは「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」と同じコンビか。

http://wwws.warnerbros.co.jp/goodliar/

「犬鳴村」

清水崇監督。臨床心理士の森田奏(三吉彩花)の弟・悠真(坂東龍汰)とその恋人・摩耶(宮野陽名)は、心霊スポットの「犬鳴トンネル」へ出かけ奇妙な体験をする。摩耶は異常な行動を続け事故を起こし、悠真は仲間と再び「犬鳴トンネル」へ出かけるが、幼い弟の健太(梅津陽)も巻き込まれてしまう…。福岡県の心霊スポットをモチーフにしたもので、実際の「犬鳴トンネル」がエンドクレジットの時に出てくる。全体には監督の「輪廻」みたいな印象で、面白くなりそうな部分もあるのだがツメが甘い感じ。物語は深いようでやたらに穴が多い、怖がらせ方はパターンはJホラーのいつものと一緒。過去の話になると、多少のヒューマニズム感はあるけど感動するほどには繋がりが悪くて、いま一歩のとこ。「こどもつかい」もそんな感じだったか。奥菜恵の登場はクレジット見るまで分からなかったけど、奥菜恵の必要性なかったな。高嶋政伸高島礼子も存在意義が中途半端だった。全体に男がみんな九州っぽく男尊女卑な感じがするのは気のせいか。

http://www.inunaki-movie.jp/

「静かな雨」

中川龍太郎監督、宮下奈都原作。大学研究助手の行助(仲野太賀)は、こよみ(衛藤美彩)が一人で営むたい焼き屋に通い親しくなるが、こよみは交通事故に会ってしまう。こよみは奇跡的に意識を取り戻すが、事故後の記憶は1日経つと消えてしまう状態だった…。2019年東京フィルメックス観客賞受賞、原作未読。監督の「わたしは光をにぎっている」「四月の永い夢」と同じ印象の安定感。静かでしっとりしていながら、どこかで心に残っていく感じ。派手にエピソードを作らないで静かに物語を積み重ねていく。印象的なセリフが伏線として生きてくるのは面白い。これは原作のおかげだと思うけど。一日だけの記憶という設定は「50回目のファーストキス」と同じなのに真逆な印象を受けるのは面白い。監督は、太賀とか渡辺大知とか、こういう雰囲気の男優使うの得意だよな。衛藤美彩は年齢も経歴もよく分からない感じが出ているのはいい。河瀬直美が突然出てきたのには驚いた。

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「バッドボーイズ フォー・ライフ」-Bad Boys for Life-

アディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー監督。メキシコの刑務所からイサベル(ケイト・デル・カスティーリョ)は息子アルマンド(ジェイコブ・スキピオ)の手により脱走に成功。マイアミ市警では、マイク(ウィル・スミス)の前には元恋人でハイテク捜査班AMMOのリタ(パオラ・ヌニェス)が現れ、相棒マーカス(マーティン・ローレンス)は孫が生まれ引退を考えていた。そして、ある捜査の関係者が殺されて行くが…。「バッドボーイズ2バッド」から17年ぶりの新作…、って新作作る必要あるのか?? マイケル・ベイから監督交代したのはいい方向に働いている。人間関係はそれなりに面白いし、アクションの描き方も丁寧でいい。カットやCGに頼りすぎずにスタントで見せる所もいい。でも、所詮はブラッカイマー印な安直さは残るかな。特にラストのドンパチはかなり薄っぺらさを感じる。そして、ウィル・スミスは「ジェミニマン」に似たようなネタを続けてやるとは、ちょっと酷くないか。

https://www.badboys-movie.jp

「ロマンスドール」

タナダユキ監督脚本原作。美大出身の北村哲雄(高橋一生)は久保田(ピエール瀧)の会社で仕事を始めるが、そこはラブドール製作工場だった。哲雄は先輩の金次(きたろう)、まりあ(渡辺えり)たちから仕事を学び、ある時、型取りのために美術モデルの園子(蒼井優)を雇うが…。基本はまっとうな恋愛モノ。粗製乱造なヌルイ恋愛モノを遥かに超えた強さがある所がいい。ラブドールものというと「ラースと、その彼女」「空気人形」などがあるが印象的な映画が多い。もの作りの視点から見てもかなり面白い。さすがオリエンタル工業全面協力だけある^^。素材の変化である、ビニール、ラテックス、ソフトビニール、シリコン、エラストマーの開発の話なんかプロジェクトXっぽい真面目さを持ってる。公開がややマイナーなのは、題材のせいなのか、ピエール瀧のせいなのか。タナダユキの中では「ふがいない僕は空を見た」「百万円と苦虫女」が好きだったけど、新たに好きなのが加わった。

https://romancedoll.jp/

「AI崩壊」

入江悠監督脚本。桐生浩介(大沢たかお)はかつて、亡き妻のために医療AIのぞみを開発するが、今はシンガポールで娘・心(田牧そら)とのんびり暮らす日々。浩介は心と共に久しぶりに日本へ戻り、のぞみを管理するHOPE社で義弟・西村悟(賀来賢人)と再会するが、突然AIが暴走。警視庁の桜庭(岩田剛典)は捜査用AI・百眼で容疑者として浩介を追い、定年間近の刑事・合田(三浦友和)と奥瀬(広瀬アリス)は独自に浩介を追うが…。オリジナル脚本でこういう物語を作るのは良い。「SR サイタマノラッパー」や「ビジランテ」の入江監督がこういうのを撮るようになるとは感慨深い。物語的には意外にちゃんとしているし、展開も悪くない。技術的に見るとちょっと雑で、うーんとなるとこ多いけど手を抜いているのか、一般受けするようにしているのか分からない。まあ、予算不足なのは日本映画ではしょうがないが。ちょいとステレオタイプな刑事だけど三浦友和が久々にいい味だしてた。しかし、悪役はイマイチ面白くないのは残念。

http://wwws.warnerbros.co.jp/ai-houkai/