電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「ソング・トゥ・ソング」-Song to Song-

テレンス・マリック監督。テキサス州オースティン、大物プロデューサーのクック(マイケル・ファスベンダー)はフリーターのフェイ(ルーニー・マーラ)と密かに付き合い、売れないソングライターのBV(ライアン・ゴズリング)はフェイに想いを寄せていた。そしてクックはウェイトレスのロンダ(ナタリー・ポートマン)を誘惑するが…。この監督とは相性が悪いが、これは物語は悪くないんだけど見ていて疲れて頭痛くなってきた。撮影はエマニュエル・ルベツキ。全体には「ツリー・オブ・ライフ」や、「ニュー・ワールド」の時みたいな印象。物語は進展しそうで何もないいつもの感じか。2017年の映画だが日本公開は今年。イギー・ポップパティ・スミスなどがちょっと出てくる。

http://songtosong.jp/

「声優夫婦の甘くない生活」-Golden Voices-

エフゲニー・ルーマン監督。1990年、崩壊直前のソ連からイスラエルへ、ユダヤ人の夫婦、ヴィクトル・フレンケル(ウラジミール・フリードマン)とラヤ(マリア・ベルキン)が移民してくる。ハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えで活躍した声優の二人だったが、イスラエルでは仕事が無く、ラヤはテレフォンセックスの仕事に、ヴィクトルは海賊版レンタルビデオで働き始める…。監督自身がソ連圏からの移民という事でエピソードにはリアリティがある。移民の苦労や、フセインのミサイルに怯えるイスラエルなどなど、当時の背景と人々はかなり面白い。全体に映画愛も強く、特にフェリーニ好きなのが良い。夫婦自体もフェリーニと妻ジュリエッタ・マシーナがモデルらしい。

https://longride.jp/seiyu-fufu/

「ミッドナイト・スカイ」-The Midnight Sky-

ジョージ・クルーニー監督、リー・ブルックスダルトン原作「世界の終わりの天文台」。人類滅亡直前の中、科学者オーガスティン(ジョージ・クルーニー)は一人で北極に残るが、残された謎の少女アイリスと一緒に暮らし始める。一方、木星の衛星からの任務を終え地球に近づく探査船アイテルのサリー(フェリシティ・ジョーンズ)たち乗務員に、オーガスティンは通信を試みようとするが…。原作未読。Netflixオリジナル、配信12日前に劇場公開とほぼ同時。大作ではないが、面白い原作を丁寧に映像にして作っている印象。登場人物少ないけど、それなりに金はかかっている感じ。宇宙のシーンはクルーニーも出ている「ゼロ・グラビティ」の影響があるかなあ。監督、制作、主演のジョージ・クルーニーは随分と爺さん役だけど頑張っている。ネタバレ的なトコはまあ簡単で、そこは面白さの本質ではなく純粋にドラマとして楽しみたい。

https://www.netflix.com/title/80244645

「ワンダーウーマン 1984」-Wonder Woman 1984-

パティ・ジェンキンス監督。1984年、ワンダーウーマンことダイアナ(ガル・ギャドット)は、恋人スティーブ・トレバー(クリス・パイン)を忘れられずにスミソニアン博物館で考古学者として働いていた。新人の同僚バーバラ(クリステン・ウィグ)は願いを叶えるという奇妙な石を調査するが、実業家マックス(ペドロ・パスカル)がそれを狙っていた…。出だしからスピード感ある展開で期待させる、全体にはエンタメとしてはよく出来ている。監督が前作「ワンダーウーマン」と一緒なのでテイストは同じ。無理矢理なクリス・パインの活躍も、上手いやり方。本筋ではないが、なんと言っても画面の隅々まで気がきいた1984年感は見どころ。ちょっとやりすぎ感はあるのだけど、かなり1984年。マックスの部屋のコドモールのマシンとか、さりげなく置かれているTRS-80 Model 100とか、ヘンなとこにばかり目がいった。

http://wwws.warnerbros.co.jp/wonderwoman/

「約束のネバーランド」

平川雄一朗監督、後藤法子脚本、白井カイウ+出水ぽすか原作。孤児院グレイス=フィールドハウス、エマ(浜辺美波)、レイ(城桧吏)、ノーマン(板垣李光人)たちは母親代わりのイザベラ(北川景子)の元で、里親に引き取られる日を夢見ていた。ある時、エマとノーマンは孤児院の本当の秘密を知ってしまい脱走計画を立てるが、そんな頃、新しいシスターのクローネ(渡辺直美)が派遣されてくる…。原作未読、アニメ未見だったが映画の後に一気に見てみた。アニメそのままを演技しているような感じで、実写の工夫はゼロかな。予告編でほとんどネタはバレているのだけど、予想通りそれ以上はほとんどない。もうちょっと脱出、かけひき、心理戦なども面白みは出せそうな感じがするが、かなり薄い。全体的に、かなり退屈な時間だったな。原作はもっと長い話でこれは序盤みたいだけど、もっと一気に作ってしまえば良かったと思うが。しかし、閉鎖空間なのに、鬼とか、脱獄とか、そーいう知識自体を持たせる教育ってどーなんだ、「わたしを離さないで」とかいいお手本があるのに。まあジャンプだからしょうがないが。

https://the-promised-neverland-movie.jp/

「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」

外崎春雄監督、吾峠呼世晴原作。大正時代、鬼殺隊の道を進むため蝶屋敷での修業を終えた炭治郎(声:花江夏樹)は妹・禰豆子(声:鬼頭明里)を連れ、伊之助(声:松岡禎丞)、善逸(声:下野紘)とともに行方不明者が続く無限列車に乗り込む。そこには鬼殺隊の柱、煉獄(声:日野聡)が乗り込んでいたが、すでに列車は下弦の壱・魘夢(声:平川大輔)の手に落ちていた…。原作未読、アニメ版は見ている。アニメ版は絵の外連味は好きだけど、物語としてはやや子供向けな印象。特にセリフでの説明の多さはイマイチな感じ。劇場版は上弦ノ参・猗窩座の登場と、いい所までを切り取った感じはするかな。でも、やっぱりジャンプ的な登場人物の関係性などは浅いし、やっぱり子供向きの印象は変わらない。

https://kimetsu.com/anime/

「ニューヨーク 親切なロシア料理店」-The Kindness of Strangers-

ロネ・シェルフィグ監督脚本。警察官の夫のDVから逃れ、アリス(アンドレア・ライズボロー)は子供二人を連れNYマンハッタンへ逃げてくるが、行き場もなくホームレスな状態。一方、マンハッタンのかつての名ロシア料理店「ウィンター・パレス」のティモフェイ(ビル・ナイ)は、刑務所帰りのマーク(タハール・ラヒム)をマネージャーとして雇い入れ、救急看護師のクララ(ゾーイ・カザン)は激務の中でセラピーの会を開き、また不器用なジェフ(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は職も家も失ってしまう…。タイトルのロシア料理店も、後半までは中心ではない、料理もほとんど出てこない。NYが舞台のヒューマンドラマ、とても上質な出来。DV、ホームレス、刑務所帰り、グループセラピー、看護師といろいろな人間模様の交錯のさせ方が複雑でありながら、巧みなバランス。最後のすっきりと収まった感じが素晴らしく良い。すべての事は最後には上手く行く、という希望を感じられるいい映画。監督は「ワン・デイ 23年のラブストーリー」の人。この人の映画は好きだな。

http://www.cetera.co.jp/NY/