電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「ハッチング 孵化」-Pahanhautoja-

ハンナ・ベルイホルム監督。フィンランド、少女ティンヤ(シーリ・ソラリンナ)は、幸せな家族動画を発信する母(ソフィア・ヘイッキラ)、無関心な父(ヤニ・ボラネン)、弟と暮らし、母の望みである体操の大会優勝を目指していた。ティンヤは森で奇妙な卵を見つけるが…。ホラーっぽいが、シンプルな怖さを狙っているわけでもなく、結構ヘン。フィンランドの映画といえばミカ・カウリスマキだが、違うベクトルでかなりヘン。物語も異様なんだが、それ以前に家族もかなり不気味という、メンタルな怖さが強い。浮気相手のテロ(レイノ・ノルディン)の存在も、ふつーに出て来て異様。フィンランド、どーなってんのと思ってしまう。監督は長編デビュー作としては立派な作品。

https://gaga.ne.jp/hatching/

「劇場版 名探偵コナン ハロウィンの花嫁」

満仲勧監督。村中警視正とエレニカ・ラブレンチエワ(声:白石麻衣)との結婚式に脅迫状が届き、警備の予行演習が行われる。また安室(声:古谷徹)は松田刑事の殉職の犯人を追い詰めるが、逆に罠にハマる。コナン(声:高山みなみ)は安室を助けようと動き出し、正体不明の爆弾犯プラーミャも新たな計画を進めるが…。なんで春にハロウィン?という疑問はあるものの、物語と展開は野沢尚脚本の「劇場版 名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊」ぐらいに好きかも。警察学校組の五人組がポイントになるが、個人的にはそこはどーでもいい気がした。話の展開のさせかたが上手いし、あのXXXX(ネタバレで書けない)の使い方は古今東西のノンフィクションに山ほど出てくるけど、立地を使ったこれほど壮大な使い方は初めてでちょっと感動した^^。成功しないと思うけど、あと単独犯でどーやったんだって疑問はあるけど、まあコナンだし。最後は相変わらず物理法則無視している。でもまあコナンだし。

https://www.conan-movie.jp/

「シャドウ・イン・クラウド」-Shadow in the Cloud-

ロザンヌ・リャン監督。1943年。ニュージーランドからサモアへ、謎のカバンを運ぶ極秘任務の連合国空軍の女性大尉モード・ギャレット(クロエ・グレース・モレッツ)はB-17爆撃機フールズ・エランド号に乗り込む。モードはボールターレットに押し込まれ、荷物はウォルター(テイラー・ジョン・スミス)が預かり離陸するが、モードは右翼に奇怪な生物を見る…。前半はボールターレット(下部銃塔)に押し込まれて、これはずっと棺桶の中の映画「リミット」なみに、クロエ・グレース・モレッツがこのままひとりの閉鎖空間な展開?と思ったが、後半はいろいろ盛り上がる。カバンの謎の引っ張り方も上手い。正直、アレが出てこない方が映画としていいと思ったが、それほど出したかったかなあ。無い方がいい映画に仕上がったかと思うのだが。ボールターレットは「世にも不思議なアメージング・ストーリー」の「最後のミッション」(スピルバーグ)といい、ドラマになりやすいのかも。トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞、まあそんな客層の映画ではあるな。

https://shadow-in-cloud.com/

「とんび」

瀬々敬久監督、重松清原作。1962年瀬戸内海の備後市、運送業者のヤスは幸恵(大島優子)との間に長男ができるが、事故により幸恵は死去。息子の旭(北村匠海)は、寺の照雲(安田顕)、居酒屋のたえ子(薬師丸ひろ子)たちみ見守られながら育つが、ヤスをおいて東京の大学へ進み、由美(杏)のいる出版社に就職するが…。松清の原作もそれほど好きではなかったのだけど、その感動場面の演出がなんとも古臭い。全体に昭和臭が強く、阿部寛「ALWAYS 三丁目の夕日」の鈴木オートみたいだし。原作ではもうちょいヤスに感情移入できたんだけどなあ。

https://movies.kadokawa.co.jp/tonbi/

「女子高生に殺されたい」

城定秀夫監督、古屋兎丸原作。女子高生に殺されたいという理由で高校教師になった東山春人(田中圭)は遺跡研究部を作り、そこに佐々木真帆(南沙良)と親友で特殊な感覚を持つあおい(河合優実)、さらに真帆の幼馴染の雪生(細田佳央太)が入る。やがて春人の元恋人で深川五月(大島優子)がスクールカウンセラーとして学校へやってくるが、学園祭の実行の日が近づいてくる…。古屋兎丸の原作コミックは設定は良かったけど、実行上や見せ場の盛り上げ方には不満があった。映画ではそのへんのアラを上手く解消して映像化しているかな。学園祭の舞台、という見どころを作っているのはよい。京子(莉子)はともかく、柔道部の愛佳(茅島みずき)は存在感出していたのに、役割としてショボすぎなんじゃないか。あおいの能力もあんまりいかされてないか。

http://joshikoro.com/

「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」-Fantastic Beasts: The Secrets of Dumbledore-

デビッド・イェーツ監督、J・K・ローリング原作。ブラジルで麒麟の誕生を助けたニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、ダンブルドア(ジュード・ロウ)からグリンデルバルド(マッツ・ミケルセン)の悪事の阻止を頼まれる。ダンブルドアとグリンデルバルドの間には血の誓いがあった。ニュートは、マグルのジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー)、兄テセウス(カラム・ターナー)、助手バンティ(ビクトリア・イエイツ)たちと共に、作戦を実行しようとするが、グリンデルバルドの部下クリーデンス(エズラ・ミラー)たち妨害する…。一作目2016「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」、二作目2018「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」と、遅いシリーズ展開になっている。まあ新型コロナがあったからしょうがないが。さらに、前作のジョニー・デップ降板でマッツ・ミケルセンに急に変わって混乱したけど。とはいえ安定した作りで、物語もまあまあ面白いのじゃないだろうか。ハリー・ポッターの後半よりはずっとよい。登場人物多すぎなで整理されてないのは気になるが。

https://wwws.warnerbros.co.jp/fantasticbeasts/

「TITANE チタン」-Titane-

ジュリア・デュクルノー監督。交通事故で頭にチタンプレートを埋め込まれたアクレシア(アガト・ルセル)は、車に執着心を抱き衝動的な性格に育つ。そして家を離れ、息子を探す消防士のヴィンセント(バンサン・ランドン)と暮らすことになるが…。仏映画、2021カンヌのパルムドール受賞。かなり暴力的で、ちょっと不可思議で説明しにくい映画だが個人的には好き。ちょっと塚本晋也の「鉄男」とか連想させる。異常な執着とか映像とかメタル感とかいろいろと似てる。主演のアガト・ルセルが性別超えて凄いパワー。パルムドールにぴったりかは判断できないが、なかなか作れる映画ではないことは確か。

https://gaga.ne.jp/titane/