電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

1999-10-02から1日間の記事一覧

「肝臓先生」

坂口安吾 角川文庫。「魔の退屈」「私は海をだきしめていたい」「ジロリの女」「行雲流水」「肝臓先生」の五編。「肝臓先生」は映画「カンゾー先生」の原作で、確認のために読んでみる。まあ、映画化は随分と話を膨らませてあって、イメージも随分と違う。基…

「地獄からのメッセージ」- Message from Hell - A.J.Quinnell

A.J.クィネル、新潮文庫。クリーシィ・シリーズ第五弾。クメール・ルージュの美しく残虐な女戦士コニー・ロン・クラムがクリーシィにかけた罠。まあ、平凡な展開ではあるけどではあるけど、最後の戦いなどは結構読ませる。「極大射程」などのスティーブン・…

「家族シネマ」

柳美里、講談社文庫。三本の短編集。表題作は、第116回芥川賞受賞作であり、映画「家族シネマ」の原作。映画の追体験という感じで読んでしまったが、文章もいい感じ。映画が結構、原作に忠実だったのが意外。他に、同棲中の女の心情を描く「真夏」、転校生の…

「屍の聲」☆

坂東眞砂子、集英社文庫。「屍の聲」「猿祈願」「残り火」「盛夏の毒」「雪布団」「正月女」の六編のホラー短編集。因習、風土、情念、呪縛といったテーマを扱う、「死国」、「狗神」などの他の坂東眞砂子と同じ様な作風。どれも完成度が高いが、特に「猿祈…

「アナスタシア・シンドローム」- The Anastasia Syndrome and Other Stories - Mary H.Clark

ミアリ・H・クラーク 新潮文庫。五編の中編集。「アナスタシア・シンドローム」のアナスタシアは帝政ロシア最後の皇帝ニコライ二世の第四皇女。最近でも、アニメ「アナスタシア」が作られているているぐらい有名。しかし、このアナスタシア・シンドロームは…

「汚染 イェローストーン完全封鎖」- Spill - Les Standiford

レス・スタンディフォード、創元ノヴェルズ。イェローストーン国立公園でタンクローリが横転事故を起し、そこから軍事用に開発されたエボラ・ウィルス並の凶悪な病原菌が広がる。著者はフォレスト・サービス、パーク・サービスに従事していただけあって、公…

「ダーティホワイトボーイズ」☆- Dirty White Boys - Stephen Hunter -「

スティーヴン・ハンター、公手成幸訳 、扶桑社ミステリー。ブラック・ライト」、「極大射程」の正統的なヒーロー物語とはまるで違う路線で驚いた。終身囚ラマー・パイ、その従弟のオデールと、元美術教師の三人がマカレスター重犯罪刑務所から脱走する。殺し…

「ランゴリアーズ」- Four Past Midnight (I) - Stephen King -

スティーブン・キング、文春文庫。「ランゴリアーズ」、「秘密の窓、秘密の庭」の中編のニ作。しかし、キングの中編は普通の長編分はたっぷりある。「ランゴリアーズ」はTVドラマで映像化されているのを先に観ているので、それの追体験という意識が強かった…

「フェデリコ・カルパッチョの優雅な倦怠」

フェデリコ・カルパッチョ、訳と註 小暮修、幻冬舎。「エル・ジャポン」、「クレア」などに載せたものの書き下ろし。イタリア人のカルパッチョの旅行、という体裁だけど、これはほんとにイタリア人?多分、訳者の小暮修が書いていると思う。文章はちょっと面…

「秘密」

東野圭吾 文藝春秋。「週間文春」ミステリーベスト第3位、「本の雑誌」日本のミステリーベストテン第1位。映画「秘密」の原作。どちらかというと、映画と比較しながら読んでしまった。原作が映画と大きく違うのは、事故の時の年が小学校6年という事、ラスト…

「ブラック・マライア」☆- The Black Mariah - Jay R. Bonansinga

ジェイ・R・ボナンジンガ 、福武文庫モダン・ホラー。導入部から抜群の面白さ。黒人のルーカス、相棒の女性ソフィーが運転する巨大トラック「ブラック・マライア」。二人は「呪いで車が停められない」という男メルヴィルからの無線をキャッチする事から始ま…

「ヒトラーの防具」下 ☆

帚木蓬生、新潮文庫。

「ヒトラーの防具」上 ☆

帚木蓬生 新潮文庫。「閉鎖病棟」、「臓器農場」の帚木蓬生だけど医学ミステリーでは無く、歴史サスペンス。日本経済新聞社刊「総統の防具」の改題。1938年ベルリン、日独混血の駐在武官補佐官幸田光彦が主人公、ナチス・ドイツが舞台。父の祖国ドイツの現実…