電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章」

黒川智之アニメーションディレクター、吉田玲子構成脚本、浅野いにお原作。3年前の8月31日、巨大な宇宙船、通称”母艦”が東京に突然あらわれ惨劇が起きたが、今は自衛隊と宇宙船や侵略者の戦闘も日常となっていた。女子高生の門出(声:幾田りら)、おんたんこと凰蘭(声:あの)はキホ、凛、亜衣たちとたわいない日々を楽しんでいたが、ある悲劇が起きる…。原作未読。巨大な宇宙船が空に浮かぶ東京での日常で、全体の設定を描くのに前半六割、ここはかなりだらだら感がある。が、小学生に戻ったところからかなり惹きつけられる展開。後章に登場人物が増えるようで、さらに楽しみになった。しかし…正直、詰めて一本にして欲しい気はする。面白いだけに残念。でも後章はかなり期待している。

https://dededede.jp

「ビニールハウス」-Greenhouse-

イ・ソルヒ監督脚本編集。貧困のためビニールハウスで暮らすムンジョン(キム・ソヒョン)、認知症の母は施設で暮らし、息子は少年院。ムンジョンは盲目の老人テガン(ヤン・ジェソン)、認知症のその妻ファオク(シン・ヨンスク)の訪問介護士として働いていたが、ある時ファオクが事故で亡くなってしまう…。韓国映画「パラサイト」の半地下の貧困と比較されることが多いけど、それは無理がある。とにかく、カメラ、ライティング、小道具とかに神経がいってないので映像が貧しい。特にビニールハウスの中の光線はまるで普通の家。貧困、介護、痴呆、障害、親子関係と社会問題の描き方はいいのだけど、そこから先がないのはかなり残念。主人公の地味さ、悪い方向にはまっていく描き方はいい。最後の方は上手くまとめたと思うけど。これが長編監督デビュー作、まあ今後に期待はできる人かもしれない。

https://mimosafilms.com/vinylhouse/

「12日の殺人」-La nuit du 12-

ドミニク・モル監督。2016年10月12日夜、山あいの町サン=ジャン=ド=モーリエンヌで女性がガソリンをかけられ焼死、被害者は帰宅中の女子大学生クララ(ルーラ・コットン=フラピエ)。事件を担当するグルノーブル署の昇進直後のヨアン(バスティアン・ブイヨン)とベテラン刑事マルソー(ブーリ・ランネール)は、クララの親友ナニー(ポーリーヌ・セリエ)の協力で交友関係を探るが、DV男のヴァンサン(ピエール・ロタン)たち全員はクララと関係を持っていた…。2013年「モード・マレシャル殺人事件」を扱ったポーリーヌ・ゲナのノンフィクションを元にしている。未解決事件であり、ミステリーとして見るとモヤモヤ感が強くなる。被害者の女性のドラマとして見ても一面しか見えないし、全体にはやはりモヤモヤした映画だと個人的には感じた。多数の映画賞受賞の映画なんだけどな。もうちょっと女性視点でみないと分からない面白さがあるのか。

http://12th-movie.com/

「COUNT ME IN 魂のリズム」-Count Me In-

マーク・ロー監督。ドラマーに注目したドキュメンタリー、クィーンのロジャー・テイラー、ディープ・パープルのイアン・ペイスピンク・フロイドのニック・メイソン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミス、アイアン・メイデンのニコ・マクブレイン、ポリスのスチュワート・コープランドなどなど…。音楽のドキュメンタリーといえば、映画音楽に注目した「モリコーネ 映画が恋した音楽家」「すばらしき映画音楽たち」や、隠れた人々「レッキング・クルー 伝説のミュージシャンたち」「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス] など色々あるが、ドラマーを中心にしたのは初めてか。個人的には新鮮な話が多いし、それぞれの幼少期からののめり込み方が面白い。それぞれがドラマーの生き方を見せてくれる。特に女性ドラマーの話は色々と面白い。個人的な好みはThe Whoキース・ムーンかな、破茶滅茶なアクションながら前面に出て正確なリズムで引っ張っていくがいい。

https://countmein.jp/

「デューン 砂の惑星 PART2」-Dune: Part Two-

ドゥニ・ビルヌーブ監督。超光速航行に必須のスパイス、メランジの唯一の産地である惑星アラキスの覇権をめぐる戦いはハルコンネン家が勝利し、アトレイデス家の後継者ポール(ティモシー・シャラメ)と母レディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)は、砂漠の民フレメンのチャニ(ゼンデイヤ)とともに逃走。ポールは救世主としてフレメンを率いていくが、ハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサ・ハルコンネン(オースティン・バトラー)がアナキスへ送られてくる…。前作「DUNE デューン 砂の惑星」の続き、圧倒的な絵作りの美しさは前作と同じ印象。物語も整理されながら見せ場を作っているのもPART 1と同じ。教母ガイウス・ヘレネ・モヒアム(シャーロット・ランプリング)などのベネ・ゲセリットの存在感もいいし、部族長のスティルガー(ハビエル・バルデム)やサンドワームも納得の出来。ポールの妹エイリアの存在、そしてアニヤ・テイラー=ジョイ、と次回作が気になる。

https://wwws.warnerbros.co.jp/dune-movie/

「変な家」

石川淳一監督、雨穴原作。オカルト専門の動画クリエイター・雨男こと雨宮トオル(間宮祥太朗)は、購入を検討した一軒家の不可解な間取りの話を聞く。雨宮は建築士の栗原(佐藤二朗)に意見を聞き調査をするが、その家の近くで死体遺棄事件が発生。また、心当たりがある柚希(川栄李奈)から連絡が来るが…。雨穴は結構好きなんだけど原作は未読。違和感のある間取り、という話は面白いのだけど、そこから離れすぎで横溝正史江戸川乱歩な世界に入っている。そのせいでまとまりが付かないサスペンスな映画に収まっていると思うんだけど、まあ、面白いと思う人もいるかなあ。注文住宅としてみたときに、この設計を受けてくれる工務店はないと思うが。間取りで始まったんだから、間取りでエンディング、といかなかったのは残念。しかし、この映画がランキングで数週間上位にいる方がミステリーだ。

https://hennaie.toho.co.jp/

「ゴールド・ボーイ」

金子修介監督、ズー・ジンチェ(紫金陳)原作「悪童たち」。沖縄、実業家の婿養子である東昇(岡田将生)は義理の両親を事故死にみせかけ殺すが、3人の子供たちのカメラに拠動画が残ってしまう。3人は、秀才の朝陽(羽村仁成)、その同級生で親元から逃げてきた浩(前出燿志)と妹の夏月(星乃あんな)。朝陽は、警察に行かずに東昇から金を手に入れようとするが…。原作は未読、「バッド・キッズ 隠秘之罪」というタイトルで放送された中国版の人気ドラマは2021年に観てメチャ面白かった。今回の日本版映画は、最初の事件は同じだけど、その後の展開やキャラはかなり違う。まるで別物という印象。泥沼への嵌まり込んでいく中で、それぞれの葛藤が疎かになって感情移入できない。これはこれでいいのかもしれないが、やっぱり別物だな。大人も子役も、なんかイマイチ。特にドラマ版の妹・普普の可愛さと純粋さ、それゆえの怖さが出てないのは残念。

https://gold-boy.com/