電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「ヴォイス・オブ・ラブ」-Aline-

バレリー・ルメルシエ監督脚本。1960年代、カナダのケベック州。音楽一家の末娘、アリーヌ・デュー(バレリー・ルメルシエ)は子供の頃から歌が上手く、12歳で音楽プロデューサーのギィ=クロード(シルバン・マルセル)にデモテープを送りデビューをはたすが…。セリーヌ・ディオンの半生がモチーフ。監督・脚本さらに主演なのはいいとしても、12歳の時代から演じるという冗談みたいな映像にかなり出鼻をくじかれる。テンポも悪いしエピソードも陳腐。最後の方だけ好きだけど全体にはかなりダメな印象。大晦日になんでこんなの観てしまったのかと反省してしまったよ。セリーヌ・ディオン「タイタニック」のMy Heart Will Go Onとか、ラスベガスのショーぐらいしか印象がない人で、好きな人は違う印象持つかも。

http://www.cetera.co.jp/voiceoflove/

2021年にビデオで観た映画一覧

「そして、バトンは渡された」

前田哲監督、瀬尾まいこ原作。高校生の優子(永野芽郁)は、義理の父・森宮さん(田中圭)と二人暮らし。優子は卒業式に演奏するピアノの猛特訓しているころ、ピアノが得意で進路に悩む早瀬くん(岡田健史)と仲良くなる。一方、みぃたん(稲垣来泉)は実母を病気で失い、継母の梨花(石原さとみ)と父・秀平(大森南朋)と暮らしていたが、秀平はチョコレートの夢のためにブラジルへ渡ってしまう…。この監督、「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」とか「猿ロック THE MOVIE」 とか、ずっとどーも相性が悪くてパスの方向だったが、評判いいので観てみた。本屋大賞の原作は未読。叙述的な前半の構成は、まあ予測出来るけど後半にはかなり効果的な仕掛けなのは面白い。これは原作もこういう構成なのかなあ。最後の方の泣かせなトコはやや長いけど、まあまあ上手くいっている。全体にはこの監督で初めてイイと思った映画になってた。泉ヶ原さん(市村正親)をはじめ、いい人多すぎな印象はあるけど。

https://wwws.warnerbros.co.jp/soshitebaton-movie/

「キングスマン ファースト・エージェント」-The King's Man-

マシュー・ボーン監督。1914年、サラエボ事件から第一次世界大戦が勃発。英国貴族のオックスフォード公(レイフ・ファインズ)は平和主義を貫こうとするが、息子コンラッド(ハリス・ディキンソン)は従軍を希望する。ロシアのラスプーチン(リス・エバンス)を始めとする闇の組織が暗躍する世界で、あるきっかけからオックスフォード公は、ショーラ(ジャイモン・フンスー)、ポリー(ジェマ・アータートン)たちの協力でスパイ組織を作ろうとするが…。シリーズの「キングスマン」「キングスマン ゴールデン・サークル」と同じボーン監督、印象は大体同じだけど、どこか演出の物足りなさを感じる。残虐シーンは減った印象。前半、主人公が息子なのか親なのか曖昧。英独露の従兄弟の王同士の対立、サラエボ事件からUボート、東部戦線、ロシア革命、米参戦と細部まで史実に合わせているところは面白いのだけど、陰謀論的な歴史観を無理矢理入れてしまっている。執事の世界ネットワークとか、黒人は円卓には入れないのか、など無理矢理に多様性を入れ込んでいる感じはかなりモヤモヤ感はある。

https://www.20thcenturystudios.jp/movies/kingsman_fa

「レイジング・ファイア」-怒火・重案 Raging Fire-

ベニー・チャン監督。警察官チョン(ドニー・イェン)たちは、麻薬組織撲滅作戦の途中に謎の仮面をかぶったグループに襲撃される。チョンは、その事件のボスが元同僚で3年前に上司に騙され投獄していたンゴウ(ニコラス・ツェー)であると疑うが…。去年亡くなったベニー・チャン監督の遺作。エンドロールが延々と監督の映像というのが珍しいが、ベニー・チャンのアクションへの思いを感じる。ドニー・イェンがやってるだけあっての生のアクションはもうハリウッドでは観られないものばかり。スタントマンの派手さがすごい。谷垣健治がスタントコーディネーターを務めているらしい。物語も香港映画の全盛期を思い出すような警官と悪人の複雑な友情物語で、懐かしい気分。チョンの妻(チン・ラン)はあんまり出番なかったな。

https://gaga.ne.jp/ragingfire/

「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」-Dark Waters-

トッド・ヘインズ監督。1998年オハイオ、企業弁護の法律事務所のロブ・ビロット(マーク・ラファロ)はウェストバージニアの農場主からデュポン社による廃棄物汚染について相談される。ロブは調査によりデュポン社が発ガン性有害物質の危険性を40年間も隠蔽していた事を知るが…。現在でも大手メーカーを実名で取り上げるという、かなりの社会派、硬派な映画。こういうのが作られて公開できるってのは尊敬できる。まるでドキュメンタリを見ている気分にもなる。映画の中では悪役が多い弁護士だが、正義漢としての弁護士の気概が前面に出ているのがいい。当時のニュースは結構覚えている、テフロンがかなり売れなくなったはずだが最近では完全に忘れられている。主演マーク・ラファロが製作。脇役となる、妻アン・ハサウェイ、上司ティム・ロビンスも地味ながらいい感じ。当事者本人がキャストに出ているのは、結構ショックを受ける。

https://dw-movie.jp/

「悪なき殺人」-Seules les betes-

ドミニク・モル監督。フランスの山間の村でパリのエヴリーヌ(バレリア・ブルーニ・テデスキ)の失踪事件が起きる。一人暮らしの農夫ジョゼフ(ダミアン・ボナール)が疑われるが、ジョセフの不倫相手アリス(ロール・カラミー)、その夫ミシェル(ドゥニ・メノーシェ)も秘密を持っていた。事件はパリのマリオン(ナディア・テレスツィエンキービッツ)、さらにコートジボワールのアルマン(ギイ・ロジェ・“ビビーゼ”・ンドゥリン)と繋がっていくが…。殺人のミステリーだが、それぞれの心の闇と偶然が作り出した人間関係と事件がメインで、それを解き明かしていく展開が見事。コートジボワールまで広がって、やっと関係性の謎がとけていく様が綺麗に決まっている。こういうミステリーの形もあるのかと感心した。地味だがなかなか面白い。2019年東京国際映画祭の上映時タイトルは「動物だけが知っている」。

https://akunaki-cinema.com/