電子竹林:Blog

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「蛇を踏む」

川上弘美 文藝春秋芥川賞受賞作。表題の「蛇を踏む」と、「消える」「惜夜記」の三作。それぞれ中編程度の長さ。純小説だけど、適度にファンタジック。エンデほどのファンタジーじゃないけど、村上春樹ぐらいのファンタジックさ。やはり、生活感からの妙な離脱や、無国籍性がそう思わせるのか。例えば、数珠屋「カナカナ堂」とか、おからや刺身が出て来ても、日本というイメージはしないのが不思議。表題の「蛇を踏む」は面白かった。他のはそこそこ。著者紹介を読むと理学部生物学科というのが面白い。妙に有機的な粘着さを文章から感じる。あと、短編文学新人賞を「神様」で受賞しているのも知らなかった。