電子竹林:Blog

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「エア・フレーム-機体-」上- Airframe - Michael Crichton

マイケル・クライトン 酒井昭伸早川書房香港からデンバーへ向かうトランスパシフィックTPA545便で異常事態発生、多数の負傷者と死者が出る。事故機を生産したノートン社は、ボーイング、ダグラスと並ぶ航空機業界大手。その品質保証部の事故原因究明チーム(IRT)の担当副部長ケイシー・シングルトンが主人公。中国との大規模な契約が進行中のため、事故究明には一週間という時間しか残されていない…。「タイム・ライン」がイマイチだったので、クライトンからはしばらく遠ざかっていたけど1997年のこの本は比較的硬派で面白い。航空業界の内幕や、エンジニアリングの話は技術者としてはなかなか楽しく読めた。TVという媒体、航空機事故を扱う無責任な態度への批判などもよい。最近では米国同時多発テロの航空機業界への影響、特に低コスト化の影響が安全面に表れるのが心配で、この本でもそんな不安が杞憂でない事が判る。もう一つ、心配になったのは操縦の自動化の問題。1994年、名古屋空港における中華航空エアバスの事故を思い出させた。本来的には人為的ミスであるが、この様な高度な自動化の問題の根深さを感じた。