電子竹林:Blog

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「イブの七人の娘たち」☆- The Seven Daughters of Eve - Brayan Sykes

ブライアン・サイクス 大野晶子訳 ソニーマガジンズ著者のブライアン・サイクスは遺伝学者。5000年年前に死にアルプス山脈で眠り続けていたアイスマンの人骨からのDNA採取に成功する所から話は始まる。母親からしか受け継がれず、核DNAより突然変異が速い(時間経緯が計算しやすい)ミトコンドリアDNAに着目し、ポリネシア人の研究、さらにヨーロッパ人での対規模な研究で、ミトコンドリア・イブの子孫、七人の娘たちのアースラー、ジニア、ヘレナ、ヴェルダ、タラ、カトリン、ジャスミンの一族の分れ方を解明していく。考古学とは違う視点から有史以前の歴史を解いていく所が、科学的ではありながら、非常にロマン溢れ、ファンタジックに感じる。数千、数万年という単位で人の生活変化や移動が見えてくるのは、不思議な感覚。核DNAとミトコンドリアDNAの違い等、さまざまな専門的な話題は出てくるが、どれも説明が上手く、科学が苦手でもすんなり読めると思う。日本は研究が進んでいないが、2500年前に朝鮮半島から渡った弥生人により、縄文人の末裔アイヌ琉球人が南北に追いやられたという。しかしアイヌ琉球人は縄文人の末裔でありながら12000年の独特の変異があることから、当時から接触が無かった事が判った。これからも人種や国家という枠組みがいかに狭いかが判る。