電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「フィクサー」-Michael Clayton-

トニー・ギルロイ脚本監督(初)。NYの大手法律事務所のマイケル・クレイトン(ジョージ・クルーニー)は"フィクサー"もみ消し屋。被告の製薬会社に有利に3000億円の薬害訴訟和解が進められていた時、担当弁護士アーサー(トム・ウィルキンソン)が精神に異常をきたす事態が発生、マイケルが後始末に向かう…。人間関係が複雑に絡み合い、物語は静かに進むが、その緊張感を漂わせた展開が上手い。それぞれの一言や微妙な表情に巧みな心理描写が織り込まれる。特に法務責任者カレン役ティルダ・スウィントン(アカデミー賞助演女優賞)の細部まで研ぎすまされた演技は見事。オープニングに戻るシーンの巧みさ、そしてラストへのスピード感ある畳み掛けも上手い。企業利益、法律、正義、悪の歪みを描く社会派、それを絶妙な演技、編集、映像で見せてくれる。なかなか良かった。(追記:微妙にネット上では評判が悪い気がするが、これはヘンな期待をさせる予告編/宣伝のせいなんじゃないだろうか…、ちゃんと面白さを伝えられていない)