ラデュ・ミヘイレアニュ監督脚本。ロシア・ボリショイ交響楽団の天才指揮者アンドレ(アレクセイ・グシュコブ)も、30年前にブレジネフによるユダヤ系演奏家排斥に反対したために今は劇場の清掃員。ある日、パリのシャトレ座からのオーケストラ出演依頼FAXを見つけたアンドレは、かつての仲間を集めて偽の楽団で出演する事を計画。演目にチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、ソリストにアンヌ=マリー・ジャケ(メラニー・ロラン)を指名するが…。面白かった、これが映画、これが音楽と思わせるような作品。政治に翻弄された人々、その中から湧き上がる感情が生み出す音楽。この深みがある世界は「のだめ…」(id:zom-1:20100420#p1)のような映画ではどうにも到達出来ない、「のだめ…」がお遊戯会に見えてくる。前半の笑いどころも見事だし、10分間以上の演奏で最後を感動的にまとめる手法も素晴らしい。監督自身も’80年にチャウシェスク政権下のルーマニアから亡命した経験を持つ。お勧め。
