電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「猫を抱いて象と泳ぐ」

小川洋子。唇が閉ざされて生まれてきた少年、お気に入りの場所はデパートの屋上で一生を終えた象のインディラの檻の前。少年は回送バスに住む巨漢の男マスターからチェスの手ほどきを受け、やがて海底チェスクラブで人形の中に入りリトル・アリョーヒンとしてゲームを行う。そこで手品師の娘ミイラと出会うが…。小川洋子らしい独特の雰囲気が楽しめる。「博士の愛した数式」の数学をチェス盤に変えたような話で、特殊な世界の中での人間の暖かみを描く。その中に、生きる事の残酷さを巧みに入れ込むのも似ている。

http://www.amazon.co.jp/dp/4163277501