電子竹林:Blog

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「そして父になる」

是枝裕和監督脚本編集。建築会社のビジネスマンの野々宮良多(福山雅治)、妻のみどり(尾野真千子)、6歳の息子・慶多(二宮慶多)はお受験の真っ最中。そんな時、出生時に病院内で取り違えられた事が判明、相手の斎木雄大(リリー・フランキー)、その妻ゆかり(真木よう子)と息子・琉晴(黄升炫)と会う事になるが…。第66回カンヌ国際映画祭審査員賞。ドラマッチックな設定としての取り違えというのは珍しいものではないが、それを徹底的にリアルに突き詰めた時の凄さを感じる。さすがに是枝裕和は期待を裏切らない。福山雅治の格好良さが、逆に内面から崩れた時の格好悪さを上手く引き出している。この配役は絶妙、そして真木よう子リリー・フランキーも駄目さ加減のバランスがいい。すべての人が善人でも完璧でもないが悪人でもない事が、是枝裕和の視点に温かさを感じる。血か時間かという問題に、答えを出さない余韻の作り方も上手い。参考文献、奥野修司著「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年」。

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