若松節朗監督、門田隆将原作「死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日」。2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0の地震が発生。津波に襲われた福島第一原発は全電源を喪失、メルトダウンの危機を避けるために当直長の伊崎(佐藤浩市)は前田(吉岡秀隆)、野尻(緒形直人)、大森(火野正平)たちとともに奔走する。また所長の吉田(渡辺謙)は本社や政府との対応に追われるが…。大筋はよく出来ていて見応えある作りにはなっている。リアルな記憶があり、まだ終わってない事故を今まとめてしまうトコは気になる。現場は必死で頑張った、だからOK、そこを精神論でまとめるのは事故の全貌を見えなくなる気がする。ベントの遅れ、海水注入妨害を総理と官邸の責任にしているのも気になる。東電本社の不手際、また津波対策の不備はまるで触れられていないのは問題。なぜ今公開なのか、震災9周年+オリンピックの聖火スタートに合わせたのだろうか。名目だけの復興五輪にこのような映画、地元民がどういう気持ちを感じるかが気になるところ。
