電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」-She Said-

マリア・シュラーダー監督、ミーガン・トゥーイー+ジョディ・カンター原作「その名を暴け」。ニューヨーク・タイムズ紙の記者ミーガン(キャリー・マリガン)とジョディ(ゾーイ・カザン)は、ミラマックス社の映画プロデューサーであるワインスタインにより数十年と続いた性的暴行について取材を始めるが、業界の隠蔽体質の壁に取材は難航する…。MeToo運動の始まりの物語であり、さすがに社会性がある硬派な作りが素晴らしい。ミーガンとジョディの二人、情報提供者、新聞社内は「大統領の陰謀」を意識した作りだろうな。新聞社だけど最後は紙じゃなくて、パソコンのボタンなのも時代を感じる。レベッカ(パトリシア・クラークソン)もキリっとしていて理想的な上司像でかっこいい。なかなか日本では作れないキャラばかり。ワインスタインは悪役ではあるのだけど、それだけではなくその存在を許した会社、映画業界の隠蔽体質を前面に出しているのはすごい。この映画こそミラマックスか親会社ディズニーが作ったら評価できるのに。

https://shesaid-sononawoabake.jp/

「そして僕は途方に暮れる」

三浦大輔監督。自堕落なフリーターの菅原裕一(藤ヶ谷太輔)は、あるきっかけで長年同棲していた鈴木里美(前田敦子)の家から出る。友人の今井伸二(中尾明慶)、バイト先の先輩の田村修(毎熊克哉)、後輩の加藤勇(野村周平)、姉の香(香里奈)、さらに北海道の母(原田美枝子)と家を転々とし、偶然に父(豊川悦司)と出会うが…。三浦大輔の演劇(未見)を自らが映画化。舞台を自ら映画化という点では「娼年」と同じであるが、印象的にはこっちの方が随分いい。どの辺が違うのかは難しいとこだけど、藤ヶ谷太輔のクズっぷりが映画向きな気がする。そのクズっぷり100%から、次第に同情してしまう展開は面白い。豊川悦司は存在感強すぎるが、その登場により物語がグっと絞まるのは素晴らしい。ラストにかけても上手いな。

https://happinet-phantom.com/soshiboku/

「ひみつのなっちゃん。」

田中和次朗監督。今は踊っていないドラァグクイーンのバージン(滝藤賢一)、そしてモリリン(渡部秀)、テレビで有名なズブ子(前野朋哉)は、世話になったなっちゃん(カンニング竹山)の急死を知り、故郷の家族に秘密を隠すためにアパートへ出かける。そこで、なっちゃんの母親・並木恵子(松原智恵子)と出会ってしまった三人は、葬儀が行われる郡上市へ向かうことになるが…。ドラァグクイーンは男優の技の見せ所、なのは 「ヘアスプレー」 、「プリシラ」、「バードケージ」、「キンキーブーツ」などなど色々な映画で見ている。滝藤賢一はそれを上手く演じていると思う。渡部秀は冴えないかと思ったがダンスはイイ。松原智恵子は上品で愛らしく、うまく対比が出来ていいキャラ。郡上八幡という場所と踊りの使い方も上手い。全体に編集が雑でテンポ悪い気はするけど物語はいいかな。最後の盛り上げがなく、スパっと終わってしまって物足りなさを感じる。そこはかなり残念。最後に爆発的なカタルシスがあれば秀作になったのに。

https://himitsuno-nacchan.com/

「映画 イチケイのカラス」

田中亮監督、浅見理都原作。入間みちお(竹野内豊)がイチケイこと東京地方裁判所第3支部第1刑事部を去ってから二年。みちおは岡山県瀬戸内の町で鵜城防衛大臣(向井理)への傷害事件を担当し、元となったイージス艦との衝突事故を調査する。一方、みちおの相棒であった坂間千鶴(黒木華)は、裁判官の他職経験制度により隣町で弁護士として働き、産業医・悦子(吉田羊)、その夫で町役場の輝夫(宮藤官九郎)、和菓子屋の幸太郎(八木勇征)たちと親しくしていた。しかし、地元企業シキハマ株式会社への疑惑が持ち上がり、人権派弁護士・月本(斎藤工)と調査を始めるが…。原作コミック未読、そもそもドラマ版も観てないんだが、黒木華がでているのでついつい観てしまった。作りはかなりチープ、事件の真相はけっこう面白いだけに残念感が残る。そもそも、事故の設定にちょっと無理がある気がするのだが…、普通の人はそんなことは意識しないのかなあ。まあ、全体には考察不足かな。脚本がもっと良ければ面白くなったかもしれないのに…「プラチナ・データ」の脚本家かあ。

https://ichikei-movie.jp/

「モリコーネ 映画が恋した音楽家」-Ennio-

ジュゼッペ・トルナトーレ監督。映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネのドキュメンタリー。トランペット奏者の父、サンタ・チェチリア音楽院、現代音楽家ゴッフレード・ペトラッシとの出会い、商業音楽を否定するペトラッシ反してやがて1961年映画音楽デビューをするが…。ペトラッシと対立するでもなく映画音楽で成功していく様は、モリコーネの性格の良さが出ている。しかし、その葛藤こそが映画音楽を高みに高めようという力になったんだろう。実験音楽家のジョン・ケージの登場、アカデミックな立場からの反発、またその影響から音の使い方が変化して、それが後々に「荒野の用心棒」の口笛や、音楽の中へのさまざまな音の入れ方になっていったのは面白い。確かに映画音楽って、使う音は違うなあ。「夕日のガンマン」、「革命前夜」 、「荒野の用心棒」、「死刑台のメロディ」、「ニュー・シネマ・パラダイス」 「アンタッチャブル」海の上のピアニスト」などなど、作品を並べるだけでまるで映画史のよう。

https://gaga.ne.jp/ennio/

「非常宣言」-Emergency Declaration-

ハン・ジェリム監督。飛行機恐怖症のパク・ジェヒョク(イ・ビョンホン)と娘がハワイ行きに搭乗するが、その機を標的としたウィルス・テロの予告動画がアップロードされ副操縦士のヒョンス(キム・ナムギル)、チーフパーサーのヒジン(キム・ソジン)たちはそれに対処しようとする。一方、刑事ク・イノ刑事(ソン・ガンホ)は、テロの対象が妻の乗った便だと知るが…。バイオテロに航空パニック、と上手い組み合わせで、これは正月の映画としては一番の楽しみにしていた映画、ほぼ期待通り。コロナのクルーズ船対応あたりが発想の元なのかもと、ちょっと思った。国土交通省大臣がキリっと世界に対応するが、実際とは違うんだろうなあ。日本の悪役度は思ったよりは緩め。イ・ビョンホンが脱がないのは始めてか?おそらく、巨大なセット自体を回転させている映像はなかなかの迫力。一部のスタントマンは大変そうだった。それより、自動車事故シーンも凄い撮影なのだけど、物語的には必要なかった気もする。後から思ったのだが、ハワイ便じゃあ間の国が少なすぎるので、プーケットあたりにしておけば良かったのに。

https://klockworx-asia.com/hijyosengen/

「嘘八百 なにわ夢の陣」

武正晴監督。古美術商・小池則夫(中井貴一)に大阪秀吉博の仕事が舞い込む。一方、陶芸家・野田佐輔(佐々木蔵之介)はTAIKO秀吉博の波動アーティスト・TAIKOH(安田章大)、山根寧々(中村ゆり)から"秀吉七品"の所在不明だった茶碗"鳳凰"の制作依頼がくるが…。。シリーズ三作目、正月映画としては前二作の「嘘八百」「嘘八百 京町ロワイヤル」は良かったと思う。今回のは個人的にはイマイチな感じが。監督、脚本は変わらずなのに、何か違う。俳優陣は悪くない。どこが悪いか説明しにくいのだけど、趣向を変えようとしすぎたののではないかなあ。二番煎じを避けようとするのは分かるのだけど。コンゲームの割には騙し合いは少ないのも残念。このままでは次回作は心配かも。

https://gaga.ne.jp/uso800-3/