電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「初恋ロスタイム」

河合勇人監督、仁科裕貴原作。浪人生の相葉考司(板垣瑞生)は目指していた医学部も諦めようとしていた頃、ある日の12時15分、自分以外の時間が止まってしまう。考司は静止した街に出るが、そこで自分と同じに動ける高校生の篠宮時音(吉柳咲良)と出会う…。原作未読、これはラノベなのかな。時間停止ってファンタジーが入った恋愛モノなんだが、謎の引っ張り方は上手くてまあまあ。難病部分は、この使い方はちょっと納得性がないなあと思う。主演が二人とも光ってるトコがないのが、なんとも残念。登場シーンの吉柳咲良の華の無さにはちょっとがっくり。まあ後半はそれなりに持ち直したけど。停止の演出が雑で、教室の女子高生は瞬きしてるし、遠くの人はグラグラしてるし、そこばかり気になった。

https://hatsukoi.jp/

「毒戦 BELIEVER」-Believer-

イ・ヘヨン監督、チョン・ソギュン脚本。麻薬取締局のウォノ刑事(チョ・ジヌン)は、本名や経歴もわからない麻薬王イ先生を長年追い続けていた。イ先生の麻薬工場が爆破され、そこで生存者の青年ラク(リュ・ジュンヨル)が発見される。ウォノはラクの協力を得て、中国の麻薬組織のハリム(キム・ジュヒョク)とイ先生の部下パク(パク・ヘジュン)の取引に潜入調査するが…。ジョニー・トー「ドラッグウォー 毒戦」の韓国リメイク。大枠はオリジナルと同じだが、結構いろいろと違う設定、演出を使っている。オリジナルの凄さ、特にラストの方の銃撃戦の迫力は越えられないが、韓国版もこれはこれでなかなか良い。改変部分も悪くはないし、謎の引っ張り方も上手い。ラク役リュ・ジュンヨルに比べてウォノ役チョ・ジヌンに面白みがないのがちょっと残念。急死したキム・ジュヒョクの遺作となった RIP。

https://gaga.ne.jp/dokusen/

「蜜蜂と遠雷」

石川慶監督脚本、恩田陸原作。注目される芳ヶ江国際ピアノコンクールへ挑戦するコンテスタントたち、母の死がきっかけの7年のブランクを持つかつての天才少女・栄伝亜夜(松岡茉優)、楽器店で働き生活者の音楽を目指す高島明石(松坂桃李)、ジュリアード音楽院在籍中のマサル(森崎ウィン)、そして伝説のピアニストであるホフマンの推薦状を持つ無名の少年・風間塵(鈴鹿央士)…。原作は直木賞本屋大賞、観た時は原作未読だったがすぐに原作を読む。長い物語を上手くカット整理統合して映画化している印象。映画向けにちゃんとテンポや見どころを作っている。主人公が全員日本人になるという無理感はあるもの、映画としてはそれほど違和感はない。メインの四人はそれぞれいいが、出番少ないが平田満光石研たちの脇役もいいし、斉藤由貴鹿賀丈史も悪くない。松岡茉優の演奏で揺れる髪型のリズムがすごく効果的でちょっと感動、神は細部に宿るな。演奏シーンはそれぞれ好き。監督の「愚行録」とは真逆感。

https://mitsubachi-enrai-movie.jp/

「ジョーカー」-Joker-

トッド・フィリップス監督。ゴッサムシティのアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は、道化師として働きながら母を介護する生活。アーサーはコメディアンを目指し、マレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)のTVショーに出るのが夢。ある時、一丁の拳銃を預かるが…。これ以外に主演男優賞を誰にあげるんだという壮絶さと迫力。ヤツの背中、特に肩甲骨が出るだけで恐怖を感じる、怖すぎる。「ダークナイト」ヒース・レジャージャック・ニコルソンのジョーカー像を壊したが、それどころではない破壊力。誰にも起こるであろう不幸が積み重なって狂気の淵に落ち込んでいく物語は、現代ではリアル感がある。そして、悪らしい悪がいないのも怖い。この数年流行な言葉、Incel(インセル)、インセル犯罪という軸でこの物語を読むと、未来がとことん心配になってくる。この監督が「ハングオーバー」のシリーズ、「デュー・デートの人だってのは信じられない。

http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/

「ジョン・ウィック パラベラム」-John Wick: Chapter 3 - Parabellum-

チャド・スタエルスキ監督。コンチネンタル・ホテルの掟を破り殺人を行ったジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)は、支配人ウィンストン(イアン・マクシェーン)により一時間の猶予を持って追放処分とされ、かつて「血の契約」を交わしたソフィア(ハル・ベリー)のカサブランカへ逃げる。一方、主席連合の裁定人(エイジア・ケイト・ディロン)は暗殺者ゼロ(マーク・ダカスコス)と共に、バワリー・キング(ローレンス・フィッシュバーン)たちの元を訪ねるが…。「ジョン・ウィック」「ジョン・ウィック チャプター2」に続くシリーズ三作目。CGやカットで誤魔化す最近のアクションに比べてこのシリーズは生身を使っている上に、さまざまに凝った格闘でかなり好き。謎な規律を守った殺し屋の世界観もなかなかに面白い。今回もその期待に応えている。前回はエンピツを使った殺しが良かったけど、今回は犬の使い方が凄かった。CGじゃなくてあれほど自由に動くとは。惜しむらくは、ゼロがまるで日本語話せないこと、あと馬のCGはイマイチ。でもそんなのは些細な事だと思わせる。しかし、まだシリーズ続ける気か??

http://johnwick.jp/

「葬式の名人」

樋口尚文監督、大野裕之脚本、川端康成原案。渡辺雪子(前田敦子)は息子と暮らすシングルマザー。ある時、母校の茨木高校の同級生・豊川(高良健吾)から、豊川とバッテリーを組んでいた吉田創(白洲迅)の訃報が届く。集まった同級生の豊川、雪子、緒方(尾上寛之)、みさ(中西美帆)たちは、吉田の遺体を母校へ運ぼうとするが…。川端康成の数編「片腕」、「師の棺を肩に」、「少年」、「バッタと鈴虫」、「葬式の名人」などが原案…というか単なるモチーフか。どこもかしこも中途半端、面白くなりそうな設定ではあるんだが、無理にモチーフを集めているためか物語的には無理感がある。これならオムニバスにした方が良かった。特に「片腕」は映像化しがいがあるのに勿体無い。「ユメ十夜」ぐらいには面白くなったかもしれないのに。府茨木市の市制70周年記念事業。前田敦子のは最近面白いのが続いていたが、これはダメだったなあ。

http://soushikinomeijin.com/

「惡の華」

井口昇監督、岡田麿里脚本、押見修造原作。地方都市、本が好きでボードレールの「惡の華」を愛する中二・春日高男(伊藤健太郎)は、同級生の佐伯奈々子(秋田汐梨)の体操着を衝動的に盗み、それを仲村佐和(玉城ティナ)に目撃されたことから佐和に支配されていくが…。原作未読、アニメ版も未見の前知識ゼロ(だったが鑑賞直後に1-3巻は読んだ、Kindle無料だったので)。中二病な閉塞感がメインの軸だけど、それをうまく表現できているとは思えない。ステレオタイプなキャラに平凡なエピソード、勢いはあるものの空回り感強くて、なんか全体に退屈な印象。原作と比べると、絵コンテに使っているようなそのまま感がある。同じなんだけど映像にした時にイマイチになる例かな。「惡の華」の表紙がルドンで、繰り返しモチーフとして使われている。2013年に「ルドン展」見たななどと思い出して調べたら2006年「日曜美術館30年展」、2007年「オルセー美術館展」にも来てた。でも読んだ本の表紙はムンクだった気がする。

http://akunohana-movie.jp/