電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「ソウルフル・ワールド」-Soul-

ピート・ドクター監督。ニューヨーク、音楽教師のジョー・ガードナー(ジェイミー・フォックス)はジャズミュージシャンを目指し、憧れのジャズクラブで演奏する機会を得るが、マンホールに落下する。そして現世に生まれる前のソウルの世界に迷い込み、22番(ティナ・フェイ)と出会うが…。ピクサー作品、コロナで2020年の劇場公開を断念してDisney+配信だったのものをやっと公開。予告編からは地味な作品を予想していたが、とても哲学的、大人向けの面白さでかなり驚き。「大霊界」 になりそうな設定を上手く大人向けのファンタジーにしている。ピクサーはどの作品でもアニメ的な技術チャレンジがあるけど、今回は楽器演奏かな。その動きは素晴らしい。演奏のMIDI情報から演奏の指のアニメを生成しているのか、とか想像させた。同時上映の短編「夢追いウサギ」は、手描きアニメかな?

https://www.disney.co.jp/movie/pixar3

「異人たち」-All of Us Strangers-

アンドリュー・ヘイ監督、山田太一原作「異人たちとの夏」。脚本家アダム(アンドリュー・スコット)は、12歳の時に交通事故で両親を亡くし、ロンドンの住民がほとんどいないタワーマンションに住んでいた。アダムは両親の思い出の脚本を進め、かつて住んでいた郊外の家を訪れると、そこには父(ジェイミー・ベル)と母(クレア・フォイ)はそのまま暮らしていた。また、同じマンションのハリー(ポール・メスカル)と知り合うが…。山田太一原作で大林宣彦が映画化した「異人たちとの夏」の英国リメイク。大林版はラスト以外はかなり好き(多くの人と同じで)。全体には抑えた演出で、しっとりとして上手い。でも、大林版の浅草のアレコレとか、鶴太郎と秋吉久美子の両親のほうがずっと好きだな。なんでゲイにしたのかと最初は思ったけど、展開していく上で、それは物語の細部には上手くハマっていた。

https://www.searchlightpictures.jp/movies/allofusstrangers

「貴公子」-The Childe-

パク・フンジョン監督。フィリピンで育った韓国人マルコ・ハン(カン・テジュ)は病気の母のために地下格闘を行っていたが、面識がない父が探しているという連絡をうけ韓国へ向かう。機内でマルコは怪しい男・貴公子(キム・ソンホ)と出会い、韓国では弁護士ユンジュ(コ・アラ)、財閥の御曹司ハン(キム・ガンウ)がマルコを狙っていた…。ノワール、アクション、サスペンスを上手く融合し、物語もまあまあ面白い話ではある。貴公子然としして、ニコニコしながら殺しまくるキム・ソンホのキャラは確かに面白い、この映画の一番の魅力か。この辺のユーモア感は結構好き。キム・ソンホ人気なのか?これに比べてコ・アラなど女優陣はやや魅力に欠けたかな。物語の裏側はまあ予測できるのでミステリー的には弱い。

https://synca.jp/kikoushi/

「プリシラ」-Priscilla-

ソフィア・コッポラ監督。1959年西ドイツ、14歳のプリシラ(ケイリー・スピーニー)は兵役中のスターのエルビス・プレスリー(ジェイコブ・エロルディ)とパーティで出会い、やがて両親の反対を押し切りエルビスの邸宅で暮らし始めるが…。元はプリシラが1985年に発表した回想録「私のエルヴィス」。最近でも2022年「エルヴィス」などプレスリーの映画はあるが、これはあくまでも妻の視点。多分、原作の流れそのままで14歳の出会いから28歳の別れまでで、物語としては盛り上がりもなく平坦な印象。ケイリー・スピーニーが14歳から28歳まで、時代にあったファッション、髪型、化粧で演じるところは唯一、面白い。その辺がベネチアの最優秀女優賞のポイントか。

https://gaga.ne.jp/priscilla/

「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」

永岡智佳監督。函館にある斧江財閥が持つ土方歳三にまつわる日本刀を盗むという、怪盗キッドからの予告状が届く。コナン(高山みなみ)、服部平次(堀川りょう)たちも剣道大会のために函館にいたが、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が函館倉庫街で発見される…。いろいろと盛り込みすぎだけど、最近ではマシな方かなあ。出だしで、設定は「ゴールデンカムイ」のパクリか、と思ったが、まあまあな展開。怪盗キッドの正体の謎から、さらに新人物の暗示まで、どれだけ風呂敷広げるんだ、って気もした。あと、毛利蘭の髪型かわったの?最初、誰だか分からなかったよ。観客、半分ぐらいは50代以上…、年寄り向けの映画が無いのか??

https://www.conan-movie.jp/

「ストリートダンサー」

レモ・デソウザ監督。英国ロンドン、インド系のサヘージ(バルン・ダワン)が率いるヒップホップダンスグループ「ストリートダンサー」、パキスタン系女性イナーヤト(シュラッダー・カプール)率いる「ルール・ブレイカーズ」はライバル同志。イナーヤトはレストラン店主ラーム(プラブ・デーバ)が路上生活者に食事を無料提供しているのを知り、優勝金10万ポンドのダンスバトル「グラウンド・ゼロ」に参加することを決意する。一方、サヘージは仲間と別れ、英国の名門グループ「ザ・ロイヤルズ」に加入し、グラウンド・ゼロに挑むが…。ダンスバトルもので、1984年の映画「ブレイクダンス」を意識しているのを随所で感じられる。ダンスはまあまあだけど、ダンスとしては個性的なのは少なかったな。1984年のブーガル・シュリンプみたいな斬新なのが観たかった。インドとパキスタンという構図は、最近のインド映画の中では面白いものだが、独立したんだからインドとパキスタンが協力すれば英国より強い、という図式は痛快。

https://spaceboxjapan.jp/streetdancer/

「インフィニティ・プール」-Infinity Pool-

ブランドン・クローネンバーグ監督。スランプの作家ジェームズ(アレクサンダー・スカルスガルド)と資産家の妻エム(クレオパトラ・コールマン)は、高級リゾート地の孤島へバカンスにやって来る。ある日、二人はガビ(ミア・ゴス)とその夫バウアー(ジャリル・レスペール)と知り合い、禁止されている敷地外へ出かけるが、そこは罪を犯しても自分のクローンを身代わりにできるというルールがあった…。クローネンバーグの息子ブランドン・クローネンバーグによる三作目。父親の狂気なグロさと違った、奇妙な世界観と暴力性を持っている。クローンに対する感覚が主題になるとこがかなりSF的で個人的には面白かった。クローネンバーグというよりは、デイヴィッド・リンチっぽさを感じた。中盤でもなかなか展開が読めない物語がいい。R18は、しょうがないか。

https://transformer.co.jp/m/infinitypool/