電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「チャンシルさんには福が多いね」-Lucky Chan-sil-

キム・チョヒ監督。映画プロデューサーのイ・チャンシル(カン・マルグム)は、支えてきたチ監督(ソ・ソンウォン)の急死で失業、郊外のポクシル(ユン・ヨジュン)の家に引っ越し、女優のソフィー(ユン・スンア)の家政婦をする事になる。そしてソフィーのフランス語家庭教師キム・ヨン(ぺ・ユラム)と出会い、またレスリー・チャン(キム・ヨンミン)の亡霊に会うが…。ホン・サンス監督のプロデューサー、キム・チョヒによる初監督作品。ほんとのプロデューサーが作るだけあって、仕事内容や職を失った時などなど、自虐的だけどリアル感が強い。映画の世界の舞台裏としても面白く、映画愛も強い。小津安二郎クリストファー・ノーランでの映画対決の話とか面白い。キム・ヨンミンは「愛の不時着」人気だけの主演と思ったが、アクセントとしてはいい。ユン・ヨジュンもいい味だしてる。思ったよりオフビート感は少ないのは残念かなあ。韓国映画としては珍しいスタイルな気がした。

https://www.reallylikefilms.com/chansil

「おとなの事情 スマホをのぞいたら」

光野道夫監督、岡田惠和脚本。ある事件をきっかけに年に一度集まるグループ、一人独身の塾講師・三平(東山紀之)、美容外科医・六甲隆(益岡徹)とその妻で精神科医の絵里(鈴木保奈美)、法律事務所に勤める園山零士(田口浩正)とその妻でパート勤めの薫(常盤貴子)、新婚の雇われ店長・向井幸治(淵上泰史)と獣医・杏(木南晴夏)の7人。今年は月蝕の夜に向井の店に集まるが、杏の発言から全員がスマホの着信を公開する事になる…。イタリア版のコメディのリメイク、17カ国リメイクでギネス記録らしい。未見だったが映画のすぐ後にオリジナルも観てみた。スマホでみんなの秘密が暴かれていくという、現代的なドラマ。それほど悲惨な秘密でもなく、コメディとしては日本版もイタリア版もにたいして面白みはない。なんでこれほどリメイクされたのか謎。ほとんどはレストランだけで展開し、安く作れるという以外に思いつかない。日本版は演出や演技はちょっと頼りなくテンポも悪い。過去の事件もあんまり活かされてないし。

https://www.otonanojijo.jp/

「AWAKE」

山田篤宏監督。清田英一(吉沢亮)は、小学生から棋士を目指し奨励会に通っていたが、同年代の浅川陸(若葉竜也)に敗れた事によりプロ棋士を諦め大学に進む。ある時、英一はコンピュータ将棋を知った事からAI研究会に入り、先輩・磯野(落合モトキ)の指導でプログラムを始めるが…。2017年の第1回木下グループ新人監督賞グランプリ、自からの初監督作品。2015年の将棋電王戦、AWAKE開発者巨瀬亮一と阿久津主税八段の戦いをベースにしたオリジナルストーリってのは知っていたが、最後の勝負のトコまで結構そのままで意外性はなく逆に驚いた。オリジナルって感じはあまりしない。「電王AWAKEに勝てたら100万円!」とか△2八角もそのまま。人間関係とかはかなり作っているけど。脇役もあんまり活かされてなかったな。テンポとか演出はそれほどは悪くないので、オリジナルに期待しなければそれなりには観られるけど。

http://awake-film.com/

「この世界に残されて」-Akik maradtak-

バルナバーシュ・トート監督。1948年ハンガリーホロコーストを生き延びながら家族を失った16歳の少女クララ(アビゲール・セーケ)は大叔母の家で暮らしていたが、学校にも馴染めずにいた。ある時クララは、同じホロコーストの犠牲者の医師アルド(カーロイ・ハイデュク)と出会い、慕っていくが…。ホロコーストの傷跡、共産党の台頭、ソ連の影響の微妙な時期のハンガリーを描く。間接的な表現で、地味な展開だが心には響く。かなり地味ではあるのだけど。1953年のスターリン死去まで描かれるが、1956年のハンガリー動乱前で、その予兆も感じられない時代。その辺の時代背景が分からないので細部まで理解できてないのかもしれない。当事者ハンガリー人には響くのだろうな。

http://synca.jp/konosekai/

「新感染半島 ファイナル・ステージ」-Peninsula-

ヨン・サンホ監督。朝鮮半島を襲った謎のウィルスから4年、香港へ逃れた元軍人ジョンソク(カン・ドンウォン)と義兄チョルミン(キム・ドゥユン)たちは、残された大金を回収するために再び韓国へ戻る。そこはソ大尉(ク・ギョファン)率いる民兵の631部隊が支配し、その部下ファン軍曹(キム・ミンジェ)たちに襲われるが、ジョンソクたちは隠れて暮らしていたミンジョン(イ・ジョンヒョン)と娘のジョニ、ユジンに助けられる…。「新感染 ファイナル・エクスプレス」の4年後の話。監督は一緒だがテイストはかなり違う。ゾンビ世界での「マッドマックス」みたいな設定が成功していて、敵を人間にしたのが上手い。絡み合った人間関係の出し方も巧み。映像的にはCGだらけでチープ、細かい設定はかなり雑だと思うけど、まあ気にしないで観られる。

https://gaga.ne.jp/shin-kansen-hantou/

「日本独立」

伊藤俊也監督。1945年敗戦によりマッカーサーたちGHQの占領下になった日本、郊外で暮らしていた白洲次郎(浅野忠信)と妻・正子(宮沢りえ)だが、外務大臣になった吉田茂(小林薫)に呼ばれ、憲法改正を急ぐGHQとの終戦連絡事務局の仕事をする事になるが…素直に終戦直後の歴史を追っている感じ。極東委員会のソ連介入を恐れ早急の憲法改正を迫るGHQ、保守を引きずる政府の対立などまあまあ公平な描写かな。公平だけど法律に素人なGHQの描き方などは批判的、まあ当然か。総理大臣の幣原(石橋蓮司)、松本試案の松本烝治(柄本明)、近衛文麿(松重豊)などの描き方は、まあ普通。憲法改正のいろいろな中で、大和の生存者で「戦艦大和ノ最期」の著者・吉田満の存在が意外に効いていた。小林秀雄(青木崇高)の出番も少ない。この辺は主軸として浮いた感じがあるが、最後にはうまくまとめたか。

https://nippon-dokuritsu.com

「ジョゼと虎と魚たち」

タムラコータロー監督、桑村さや香脚本、田辺聖子原作。恒夫(声:中川大志)は海洋生物学を専攻しメキシコでの研究を夢見て、舞(声:宮本侑芽)や隼人(声:興津和幸)たちとダイビングショップでバイトしていた。ある時、坂道を転がる車椅子のジョゼ(声:清原果耶)を助け、ジョゼの祖母チヅ(声:松寺千恵美)からジョゼの相手をするバイトを頼まれるが…。原作から35年、犬童一心監督の「ジョゼと虎と魚たち」から16年経ってのアニメ版。犬童一心版はボディブローのようなラストの作り方がいいと思った。今回のアニメ版は、絵も綺麗だし、後半へ向けかなりいい話になっている。短編の原作を膨らませドラマにした犬童一心版を、さらにポジティブな現代モノにした感じ。人生の残酷さは薄めにし、オブラートに包んだ感じが現代的だけど、これはこれでいいのかな。個人的には、あまりに綺麗にまとまりすぎていて、犬童一心版の深さの方がいいなと思ってしまうけど。

https://joseetora.jp/