フィル・ロード&クリストファー・ミラー監督、アンディ・ウィアー原作。グレース(ライアン・ゴズリング)が目覚めると、そこは宇宙船の中。異端の分子生物学者だったグレースは中学の科学教師となっていたが、太陽のエネルギーを奪っていく原因を究明するプロジェクトに参加、そのアストロファージの正体を突き止め、12光年遠くのくじら座タウ星へ送られた記憶を取り戻しいく。そして、協力者ロッキー(声:ジェームズ・オルティス)と出会うが…。原作は出てすぐに読んだ、ハードSFなところが好き。ほぼ原作の流れだが、映画的にも盛り上げポイントをうまく作り、映像的にも原作のイメージを壊さず、むしろうまく補足している。ロケットの推進や人工重力についてはかなり省略しているが、まあしょうがないか。ロッキーについてはイメージとは違うがカワイイとは思う。泣くような話だとは思っていなかったけど、観客の反応でこれほど泣く映画に作ったんだと驚いた。それほどの泣きSFとは感じてなかった。グレースはちょっとかわいそう。グレースと、ずっと苗字で語られるのも珍しい。
「ナースコール」-Late Shift-
ペトラ・フォルペ監督脚本。スイス、看護師フロリア(レオニー・ベネシュ)が働く州立病院は慢性的な人手不足だった。ある日、遅番シフトのフロリアは、満床病棟で不安や孤独を抱える患者に対応しながら、看護学生の教育もしなければならなかった…。だただだ看護師が業務をこなしていくだけの映画ではあるのだけど、その過酷さが凄まじく、観客も常に緊張感を強いられる。大事件という大事件は起きないのだけど、緊張する。そして、とてもエモーショナル。こんな映画が作れるのかと、ちょっと驚いた。「セプテンバー5」-September 5の通訳役レオニー・ベネシュがまた名演技を見せてくれた。特に、看護師としてのプロフェッショナルな動きが素晴らしいものがある。腕時計のエピソードが好きだ。
「マーティ・シュプリーム 世界をつかめ」-Marty Supreme-
ジョシュ・サフディ監督。1950年代のニューヨーク、卓球に人生をかけるマーティ・マウザー(ティモシー・シャラメ)は、親戚の靴屋で働きながら金を工面し、ロンドンの世界選手権に出場。しかし日本選手エンドウ(川口功人)に敗れ、次回の日本での選手権を目指すが、不倫相手のレイチェル(オデッサ・アザイオン)が妊娠、卓球協会から選手資格を剥奪される…。A24作品、実在の卓球選手マーティ・リーズマンがモデル。卓球スポ根というよりは、卓球のためのハチャメチャ人生な面白さ。賭け試合、その騙しの上手さはハスラーそのもの。ビリヤードの「ハスラー」を連想させる。真っ当な卓球の試合もうまく盛り上げ、特に最後の日本での試合はスピード感もあり凄い迫力。youtubeでプレイを見たけどうまく似せてる。スポンサーの妻ケイ・ストーン(グウィネス・パルトロウ)は活躍は少なかったな。
「クスノキの番人」
伊藤智彦監督、東野圭吾原作。逮捕された玲斗(声:高橋文哉)は、亡き母の腹違いの姉で、柳澤グループの千舟(声:天海祐希)により釈放される。それと引き換えに、玲斗は月郷神社の、祈れば願いをかなえてくれるというクスノキの番人となる。玲斗は、クスノキに通い続ける佐治寿明、その娘の優美、二代目社長となる大場たちと出会っていくが…。東野圭吾の原作未読、ミステリ性もなく、こういう作風の小説も書くのかと思うような印象。全体には、ファタジーでハートウォーミングでいい話ではあるが、流れとしては平凡ではある。特に謎もなく、物語をひっぱる力がないな。なんでこれをアニメ化しようと思ったんだろう。
「花緑青が明ける日に」
四宮義俊監督。神奈川県二浦市、創業330年の帯刀煙火店は森の中にあり、再開発で立ち退きを迫られていたが、帯刀敬太郎(声:萩原利久)は店に4年間立てこもり、失踪した父・榮太郎に代わり幻の花火"シュハリ"を完成させようとしていた。幼馴染の式森カオル(古川琴音)は東京で暮らしていたが、敬太郎の兄で市役所に勤める千太郎(声:入野自由)の頼みで、立ち退き期限前日に帯刀煙火店を訪れるが…。監督脚本が日本画家で、淡い色彩の表現はなかなかに斬新、出だしのシーンから惹きつけられる。が、全体ではそれだけだった。フランスのスタジオMiyu Productionsとの共同製作だが、クレジットではほとんど日本と中国だった感じで、フランスらしさはどの辺なんだか分からなかった。物語的には平凡で、後半への展開は面白みが薄い。なんか、1988年「ぼくらの七日間戦争」を思い出させるような話。声優としては、古川琴音は特有すぎて、あの顔が浮かんでしまう。そういえば、舞台が架空の市の神奈川県・二浦市で、当然、三浦市を連想するが神奈川県である必要ないのでは。
「ブルームーン」-Blue Moon-
リチャード・リンクレイター監督。ラリーことロレンツ・ハート(イーサン・ホーク)は、ブロードウェイのレストラン「サーディーズ」で行われたパーティに招待されていた。その日は、長年タッグを組んできた作曲家リチャード・ロジャース(アンドリュー・スコット)のミュージカル「オクラホマ!」初演の1943年3月31日の夜。ラリーが想いを寄せるエリザベス(マーガレット・クアリー)も現れるが…。イーサン・ホークがひたすら喋りまくる、喋りまくる映画。喋りだけだが、そこにスピード感があって面白い。でも、日本人だし当時のブロードウェイの舞台や人物にも詳しくないので、半分もニュアンスが掴めてないとは思う。特に、第二次世界大戦中の1943年、「オクラホマ!」の初演の夜という設定も、時代背景もあり、いろいろと興味深い。イーサン・ホークが小さい人を演じるのに苦労しているのは撮影的には見どころではある。全身は、後ろ姿だけで本人ではないみたい。
「ウィキッド 永遠の約束」-Wicked: For Good-
ジョン・M・チュウ監督。オズの国では、エルファバ(シンシア・エリボ)は動物の自由のために戦い、悪い魔女として民衆の敵となっていた。一方グリンダ(アリアナ・グランデ)は善い魔女として人気だったが、ある時、"カンザスから来た少女"がオズの国に突如現れる…。「ウィキッド ふたりの魔女」-Wicked- - 電子竹林:Blogの続編。Part 1は、世界構築と設定が中心で全体にスピード感に欠けたのと比べると、まあまあ面白くなっている。それでも、全体には間延び感があって1本にまとめて欲しかった。ひたすらの伏線回収と、映画「オズの魔法使」との絡みで物語は進んでいく。「オズの魔法使」を知らないと、まるで意味がわからないかもしれないが、その辺の興味の引きつけ方は上手いと思った。が、ちょっと整合性あってるのか疑問もある。カカシとブリキ男の正体はちょっと面白かったが、可哀想な気もする。マダム・モリブル(ミシェル・ヨー)とオズの魔法使い(ジェフ・ゴールドブラム)は役割は重要だが、すでに面白みはなかったな。