電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「喜劇 愛妻物語」

足立紳監督脚本原作「乳房に蚊」。売れない脚本家・豪太(濱田岳)はチカ(水川あさみ)、妻アキ(新津ちせ)と暮らすが倦怠期でセックスレスに悩む。豪太は取材旅行のためにチカ、娘アキを連れ香川県へいく事になるが…。原作未読、2019年東京国際映画祭コンペティション部門で最優秀脚本賞.。「百円の恋」 の脚本家が自伝小説を監督・脚本・原作で映画化。自伝のさらけ出し型の喜劇としてはそれなりに面白い。のだけど、なんか可哀想すぎて笑えない微妙なトコも多い。ラストへ向けてのまとめ方もイマイチ面白くないし、吾妻(大久保佳代子)の存在も中途半端。由美(夏帆)はそれなりにアクセントになっていたけど。ところで、青春18きっぷで朝早く出てもあの時間にはつかないと思うな。

http://kigeki-aisai.jp/

「海辺の映画館 キネマの玉手箱」

大林宣彦監督。尾道、海辺の映画館「瀬戸内キネマ」は閉館記念オールナイト「日本の戦争映画大特集」を上映。それ観ていた三人、馬場毬男(厚木拓郎)、歴史好きの鳥鳳介(細山田隆人)、寺の息子の団茂(細田善彦)はスクリーンの世界へタイムリープし、希子(吉田玲)と戊辰戦争日中戦争沖縄戦、原爆と体験していくが…。大林宣彦の遺作。遺作までも、初劇場作品「ハウス」並に好き勝手、自由にやっているのは大林らしいと言えばらしい。ラストに向けて意味合いや構成が見えてくると、筋が通っていてちゃんと出来ているなとは思うけど、やはり長すぎだなあ。テーマとしての戦争はいいが、戊辰戦争まで出しているのは備後福山藩としての被害者側な立場に立とうとしているんだろうが、なんかフェアじゃない感じ。俳優それぞれが、どの大林作品に出ていたのか思い出すだけで、頭疲れた。あと女優の扱いは相変わらずぞんざいな気がする。だから小林聡美薬師丸ひろ子原田知世富田靖子とか出てくれないんじゃないの。あと、撮影はデジタルなんだな。

https://umibenoeigakan.jp/

「mid90s ミッドナインティーズ」-Mid90s-

ジョナ・ヒル監督。1990年代半ば、ロサンゼルス。13歳のスティーヴィー(サニー・スリッチ)は、母ダブニー(キャサリン・ウォーターストン)、力の強い兄イアン(ルーカス・ヘッジズ)との三人暮らし。ある時、スティーヴィーはスケートボードショップで、プロを目指すレイ(ナケル・スミス)、イカれたファックシット(オーラン・プレナット)、一番若いルーベン(ジオ・ガリシア)、ビデオカメラを離さないフォースグレード(ライダー・マクラフリン)たちと知り合い仲間になるが…。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」など俳優としては地味目なジョナ・ヒルだけど、これは初監督脚本。自伝的で90年代半ばのLAストリートの空気がリアルに伝わる。粗っぽい映像に粗っぽい構成だけどやはり本物を知っているという感覚がある。レイ役、ファックシット役はプロのスケートボーダーなので流石にうまい。スケボーだと「ロード・オブ・ドッグタウン」を思い出すけど、20年後だと自由感以上に若者の閉塞感の方が強いな。A24作品。

http://www.transformer.co.jp/m/mid90s/

「人数の町」

荒木伸二監督脚本。借金取りに追われる毎日の哲也(中村倫也)は、黄色いツナギの男ポール(山中聡)に助けられ奇妙な町に住むことになる。衣食住は無料だが、そこから離れられないその場所で、哲也は緑(立花恵理)たちと知り合う。一方、DVの末に行方不明になった妹を探す紅子(石橋静河)はある町について知るが…。第1回木下グループ新人監督賞・準グランプリを受賞したオリジナルストーリーで本人が監督脚本。物語が一発アイデアだけで展開はちょっと短調。キャラももっと背景に深みがあっていいのに、ちょっと欠ける。予告編は良さそうだったのだけど残念。初長編監督作品としては立派かもしれないが。かなりの低予算で撮っている感じもする。全体には、少年ドラマシリーズにあるぐらいのSF感しか感じない。日本人からみると、この社会性はいいのだけどな。

https://www.ninzunomachi.jp/

「ファナティック ハリウッドの狂愛者」-The Fanatic-

フレッド・ダースト監督。ハリウッドに住む映画オタクのムース(ジョン・トラボルタ)は、友達はリア(アナ・ゴーリャ)だけの冴えない男。知り合いの店で、熱狂的ファンであるハンター・ダンバー(デボン・サワ)のサイン会が開かれることになるが…。ジョン・トラボルタの挙動不審オタク演技がイイ。すごく頑張っていて不気味で、ソコはなかなかオススメなんだけど脚本がダメだなあ、ラストも残念。いやー、トラボルタがいいのに勿体ない。熱狂的ファンの異常な愛情モノは「ザ・ファン」とか「ミザリー」とか色々あるのにな。もっと工夫のしがいがあったと思うが。

http://fanatic-movie.jp/

「青くて痛くて脆い」

狩山俊輔監督、住野よる原作。大学新入生の田端楓(吉沢亮)は人と距離をおいて生活することを信条としていたが、理想主義な寿乃(杉咲花)と出会い、二人で秘密結社サークル・モアイを立ち上げる。3年後、モアイは天野巧(清水尋也)を中心とした就活サークルと成り下がり、楓は友人の董介(岡山天音)とモアイの闇を暴こうと、幽霊部員の朝美(松本穂香)を巻き込むが…。原作未読、どこにもいるちょっとダメな奴ばかりな登場人物、まあそんな中で起きそうな事件を、ある視点で丁寧に描くところは上手い。心に響く。物語的には、もう1、2コの裏があって意外な展開をするのかと期待していたが、かなり単純だった。森七菜の存在も物語の中でちょっと薄い感じ。大学の風景がどこか知った雰囲気の場所だと思ったら(最初の階段教室で分かった)、うちの大学がロケ地だった。

https://aokuteitakutemoroi-movie.jp/

「ようこそ映画音響の世界へ」-Making Waves: The Art of Cinematic Sound-

ミッジ・コスティン監督。ハリウッドの映画音響を歴史、作品、インタビューで解説。初のトーキー1927「ジャズシンガー」、1933「キング・コング」、1941「市民ケーン」、1977「スター・ウォーズ」のベン・バート、1979「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、1993「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストロームなどなど…。2年前に「すばらしき映画音楽たち」があったけど、もっと音響全体にスポットを当てて掘り下げたところが面白い。歴史、作品、技術、録音から編集、それを具体例とインタビューと広い範囲で構成している。いい映画の音はやはりよくできている。大学の「映画音響学」という授業で「地獄の黙示録」でレポート書いたのを思い出す。やはり「地獄の黙示録」を選んで正解だった。音響ではFoley(音効)が一番好きだけどそこは薄め、まあしょうがないか。しかし、USC(南カリフォルニア大学)の人材は層が厚いなあ。

http://eigaonkyo.com/