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「鯉沼家の悲劇」本格推理マガジン

鮎川哲也編 光文社文庫。小説の単独の内容以上に、非常に複雑、マニアックにミステリーファンには面白い内容。さすがに、鮎川哲也はひねくれた構成をするなと感心した。なかの横溝正史の中編「病院横町の首縊りの家」の前後二回の予定だが、前40~50枚で筆を折った作品。その続きを岡田鯱彦、岡村雄輔がそれぞれ、解決編を書いたもの。とはいえ、解決編はそれほど面白く無かった(^^;)。横溝自身は、別に大長編「病院坂の首縊りの家」の家へと発展させている。横溝をここに出しておいて、表題の「鯉沼家の悲劇」。これは宮野叢子の代表作(勉強不足のため、まるで知らない人だけど(^^;))。ドロドロとした人間関係の設定がまるで、「犬神家の一族」。それも「鯉沼家の悲劇」の方が先に書かれている。解説には『正史という作家は良い意味で換骨奪胎の名人であり、たとえば、乱歩の「孤島の鬼」の地底洞窟を「八つ墓村」の鍾乳洞へ、「魔術師」の笛吹き殺人を「悪魔が来たりて笛を福」のフルート殺人へ、カーの「笑う後家」の醜聞操作を「白と黒」の風評操作へ移し替えたりしている』などとある。んー、勉強になる。