電子竹林:Blog

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「B.D.T. 掟の街」

大沢在昌 双葉社。初出は「小説推理」1992/9~1993/7。「新宿鮫」が1991年の吉川英治文学賞新人賞だから、一番注目されていた頃に書いていたものか??時代は2050年、東側と呼ばれる新宿、澁谷、港、豊島、太田各区の一部がホープレスと呼ばれる混血に支配されるスラムと化している近未来。2050年という割には、ほとんど現代と同じ。テクノロジ的に社会が何も変化していないのが不自然。映画の「ロスト・イン・スペース」(2058年)とほとんど同じ未来の話とは思えない(^^;)。そのヘンが実に違和感を感じる。大沢在昌にはSFの才能はないかも(^^;)。ま、人種が混ざり会った世界観はちょっと面白いけど、現在の物語である「不夜城」の方がずっと上を行っているのは皮肉っぽい。東側に住む探偵ケン代々木が主人公。一人の歌手の女探す所から、事件は民族的対立、人種差別、大規模な組織的謀略へと展開していく。古典的なストーリ展開ではあるけど、まあ、面白く読める。大沢在昌の本は数が多くて、いくら読んでもまだまだ残っていて、大変。