電子竹林:Blog

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「ボーン・コレクター」☆- The Bone Collector - Jeffery Deaver

ジェフリー・ディーヴァー。今年「フリッカー」を読んでなければ、文句なくナンバーワン。面白かった。リンカーン・ライム・シリーズ第一弾。首から下は左手の薬指一本しか動かせない四肢麻痺、元ニューヨーク市警の科学捜査本部長、世界最高の犯罪学者ライムが主人公。周辺の人物もいい。とくにライムの手足となる、美女アメリア・サックスの成長物語にもなっていて、話を深くしている。四肢麻痺というハンディキャップにより安楽死を求めながら、かつての情熱を取り戻させるというのが連続殺人鬼だというのが皮肉。しかし、動きだすとそのエネルギーに脱帽させられる。現場に残されたわずかな遺留品、そのメッセージを科学捜査と犯罪心理学を駆使していく様のリアルさは今までに無いもの。ニューヨークが舞台であり、臨場感が素晴らしい。ニューヨークを知っていると、ずっと面白いと思う。現在のニューヨークを地理的に捕らえているだけでなく、地下までの三次元、さらに過去へ遡る時間軸まで深く入り込んでいる。ニューヨークが歴史ある土地だという事が判る。しかし、徹底的に調査された背景がすごい。日本人の作家が忘れている事だと思う。著者の前作「眠れぬイヴのために」「静寂の叫び」「監禁」も面白い事だろう。次作「The Coffin Dancer」でも同じメンバーが活躍するそうで、楽しみ。もっともシリーズにはならないみたいだけど。