電子竹林:Blog

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「青の炎」

貴志祐介 角川書店。書き下ろし。前作「クリムゾンの迷宮」はイマイチ好きになれなかったけど、この本は前半は凄くいい。人間がうまく出ていると思う。17才の殺人者、櫛森修一。舞台は鎌倉、湘南あたり。働く母を気づかい、妹を思い、離婚した父を憎む。家庭を守るための殺人は実にまっとうな理由で、読者に共感を感じさせる。しかし実際の殺人がいかにも技巧的で、この辺になってしまうと納得できない面も多い。前半の殺人にしか解決を求められなかった主人公を、もっと最後までうまく動かしてくれたらと思う。ラストは嫌い。