電子竹林:Blog

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「永遠の仔」 ☆

天童荒太 幻冬舎。これは傑作。面白かった。これほどに打ちのめされた本は久しぶりかもしれない。最後に救いがないのがなんとも悲しいけど、傷つきながらもそれでどうにか社会と適合していかなければいけないという、アドルトチルドレンの定めが悲しい。突き放しているようで、著者の愛情は感じられる。モウル、ジラフ、優希(ルフィン)のそれぞれのキャラクタが素晴らしいし、現在と過去の交錯の仕方の構成も見事にはまっている。ミステリーとしても面白いのだけど、犯人あてというのはまるで眼中になく、夢中で読んでしまった。TVドラマ化されたものは、ちょっとしか見てないけど、モウル=渡部篤郎、ジラフ=椎名桔平、優希=中谷美紀という配役ははまり過ぎていて面白みがない。そもそも、お茶の間で見るようなストーリとも思えない。一人でじっくり噛み締める物語だと思う。