電子竹林:Blog

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「ボーダーライン」☆

真保裕一 集英社。主人公は総和信販ロサンゼルス支社の調査部主任調査官、永岡修。 P.I(私立探偵)ライセンスを持ってはいるが、普段はクレジットカードの会員の旅行中のトラブルの後始末に明け暮れている。ある時、一枚の写真を手がかりに安田信吾という男を探す事になるが…。題名の「ボーダーライン」は舞台となる米国とメキシコの国境を示すが、p236「この世の中には、人間と獣を隔てる境界線を踏み越えてしまった者が時として生まれ落ちてくるものなのでしょうか」とあるように、人間と獣の境界という意味もあるのだろう。この悪役がなかなか凄い、p309「握手をするように人を殺して平然としていられる男」である。主人公のまっすぐな性格、絡みつくようなストーリ展開、乾いた文体と真っ当なハードボイルドに仕上がっている。そこに、親子問題などを巧みに組み込んでいるのが上手い。面白かった。