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「アトランティスのこころ」上 ☆ - Hearts in Atlantis -

スティーヴン・キング 白石朗訳 新潮社映画「アトランティスのこころ」の原作ではあるが、映画になっているのは上巻の部分だけ。上巻は「1960年黄色いコートの下衆男たち」で映画となった部分。子供時代のボビーとキャロル、サリー・ジョン、そして謎の老人テッドの物語。下巻はそれ以降の時代。ベトナム戦争の頃、メイン州大学となった新入生となったキャロルとその友人のピートの物語「1966年アトランティスのハーツ」、マンハッタンでの奇妙な仕事の話「1983年盲のウィリー」、「1999年なぜぼくらはヴェトナムにいるのか」、「1999年天国のような夜が降ってくる」。「グリーン・マイル」以来、キングの作品では純粋に面白かった。それぞれの物語の不思議なつながり方が、人生を大局から眺めた不思議な視点の感触を与えている。その視点は、善人も悪人もひっくるめて、暖かく見守っているようで心地よい感動を与えてくれる。上巻、テッドが子供時代のボビーに「蝿の王」を勧めるが、次の一冊を自分なら「ハツカネズミと人間」と考えたが…見事にテッドと意見があった。 ところでピースマークは、バートランド・ラッセルが提唱したマークで、核軍縮(nuclear disarmament)の頭文字、NDを手旗信号の形から取っているとは知らなかった。ちなみに、最終章「天国のような夜が降ってくる」(Heavenly Shades of Night Are Falling)は映画で流れるプラターズの「TwilightTime」の出だしの歌詞。