電子竹林:Blog

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「ダスト」- Dust - Charles Pellegrino

チャールズ・ペレグリーノ 白石朗訳。ロングアイランドに埃のような微小生物"ダスト"が大量発生し住民を襲っていく。主人公の古生物学者リチャード・シンクレア、彼が属するブルックヘイヴン国立研究所も問題解決に取り組むが、やがて世界各地で蝿や蝶が激減、ダニや蜘蛛が大量発生。世界各地で生態系が崩壊していく…。単純なバイオ・サスペンスと思いきや、もっと壮大な人類絶滅の話。それも恐竜絶滅の謎、DNAレベルの時限爆弾、3300万年の周期的絶滅、ゲノムの意思疎通などなど、様々なアイデアに溢れている。しかし、それが上手く物語に仕上がっていないし、やや長く、様々なエピソードが練り切れていないのが残念。設定としては壮大で、SF的マインドに溢れたもの。アイデアは抜群、物語は二流。「ジュラシック・パーク」で使われた琥珀中の中生代吸血昆虫から恐竜のDNAを得るアイデアは、著者ペレグリーノが「オムニ」に書いた特集記事「恐竜のタイムカプセル」が元になっていが、クライトンは正式にそれを表明していないらしい。