電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「この国の空」

荒井晴彦監督、高井有一原作。終戦直前の杉並、19歳の里子(二階堂ふみ)は母(工藤夕貴)との二人暮らしだが叔母(富田靖子)が横浜の空襲で焼け出されやってくる。銀行に勤める隣家の市毛(長谷川博己)は妻子が疎開中、そして里子は次第に市毛に惹かれていくが…。荒井晴彦は、ほとんど脚本家のイメージだが18年ぶりの監督作品、1997年監督の「身も心も」は多分未見。全体には、これは二階堂ふみのための映画だろうなあ。空襲と飢餓の日常の中、このまま愛を知らずに戦争で死んでしまうという無常観の中で目覚める、生への渇望がリアルで生々しい。女優としての二階堂ふみ工藤夕貴富田靖子の二人と対決させる事で、その輪郭がよりシャープに新鮮に描き出されている。茨木のり子の詩「わたしが一番きれいだったとき」も上手い使われかた。最後のストップモーションはあざと過ぎてイマイチ。

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