電子竹林:Blog

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「黄昏のロンドンから」☆

木村治美 文春文庫。1976年の本。なんとも古い内容だけど、当時、英国病と言われた社会構造的な問題についてエッセイ的にまとめているので興味があって読み始める。今、「トレイン・スポッティング」「ブラス!」「GONOW」など英国映画はバツグンに面白いし、文化的にも復権している。不況とは言われながらも、安定的ではある。それの背景となっている社会背景を知りたい。著者はこの本で第8回大宅壮一賞を受賞している。階級社会については散々、色々な所で書かれているけど、ロンドン西北部に日本人とユダヤ人の頭文字から取ったと呼ばれる地区があるとは…。ユダヤ人の家主が日本人に家を貸したがるという解説も面白い。移民社会での面白い一面。著者は英国病を、ひとつの川柳で解説している「売り家と唐様で書く三代目」この川柳に凝縮された英国の実態は面白い。最近の英国の文化復権は四代目と捉えるべきなのか?まあ、こういうちょっと堅い話題から、しゃもじが売ってないなんて生活密着な話題まで広いところも網羅している。