電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「ラブ・レター」

森崎東監督、浅田次郎原作、中島丈博脚本、中井貴一山本太郎、コン・チュウ、根津甚八浅田次郎の「鉄道員<ぽっぽや>」に収録されている同名の短編の映画化。原作はそれほど好きではなかったし、あれほど短い話を映画に出来るのかと疑問だったのだけど、なかなか面白かった。原作よりも遥かに面白い。中井貴一演じるポルノビデオ屋の店長、吾郎は中国人の白蘭と偽装結婚するが、留置所にいる間に白蘭は死んでしまう。その後の吾郎の死の見つめ方が非常に上手い。一人の人間の死が事務的な流れに乗るのを見つめる吾郎の心理描写は、もう一つの「お葬式」を観るような巧みさがあった。原作に対して、話の膨らませ方も非常に自然だし無理が無い。何よりも、中井貴一のチンピラっぽい雰囲気が凄く上手くて感心した。