電子竹林:Blog

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「マウント・ドラゴン」 -Mount Dragon -☆。Douglas Preston&Lincoln Child

ダグラス・プレストン&リンカーン・チャイルド。非常に、面白かった。これぞ、まさにエンターテイメント。解説ではSFやミステリーの枠に収まらないエンターテイメント小説、例えば「ネアンデルタール」、「スペアーズ」「キャリアーズ」「イエスの遺伝子」「レリック」などの徹底したサービス精神、魅力的なキャラクタ、歴史/科学/風俗などの副次的テーマを盛り込んだものをハリウッド小説と呼んでいる。確かに、まるで映像や俳優が目に浮かぶ様な小説である。ダグラス・プレストンは「ホット・ゾーン」の著者リチャード・プレストンの弟。前半は「ホットゾーン」の様な遺伝子工学の研究所を舞台にして不気味ではあるけど比較的地味な展開、後半はうってかわってアクション色も含む。砂漠の追跡劇など、ディック・フランシスを連想させるテンポのよさと書き込み方。仮想空間での対決なども面白い。何よりもラストになるに連れて、それぞれのキャラクタが素晴らしく見えてくる。元友人でありながら対立するジーンダイン社会長スコープスと遺伝政策協会会長レバイン、謎のクラッカー道化師、主人公ガイ・カーソンと彼の助手デバカ、不気味な警備部長ナイなどなど。特にスコープスとレバインの対決など涙無しには読めない素晴らしさだった。それぞれのキャラクタが生き生きとしていて、ホントに映画を観る様な素晴らしさだった。映画の「レリック」は非常につまらなかったのだけど、この二人が書いたのなら原作はきっと面白いと思う。