電子竹林:Blog

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「永遠も半ばを過ぎて」

中島らも、文春文庫。映画「Lie lie Lie」の原作という事で読む。自動書記する写植屋、詐欺師、アル中の出版者という組み合わせの妙の面白さは映画と同じ。映画「Lie lie Lie」は、ストーリ構成、特に時間の流れがちょっと複雑で、原作から随分と書き換えているのかと思っていたら…これが、原作そのままなのでちょっと驚いた。原作ではさらに、三人それぞれの一人称という形で構成されている。これが時制が入り組む理由であるが、映画ではそのまま借用しているので、ちょっとヘンな感じを与える。映画では波多野、相川の方はまだ視点の切り換えがしっかりしていたが、宇井美咲から流れが変わってしまってイマイチだったような。中島らもの「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」にも出てくるが、学生時代に自動書記に凝っていたよう。「永遠も半ばを過ぎて」にペイシェンス・ワースなんて出てくるのはその影響。でも、こういう似非科学って嫌いみたいで、その結果が「ガダラの豚」に結実しているのが面白い。