電子竹林:Blog

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「極大射程」上 - Point of Impact - Stephen Hunter -

スティーヴン・ハンター新潮文庫。「ブラックライト」が気に入ったので、スティーヴン・ハンターの他のも読む気になる。これは長編第五作。ボブ・リー・スワガーを主人公にした設定でも「ブラックライト」より前の作品で、時代的にも前になっている。スティーヴン・ハンターは、NRAの手先かと思わせる武器マニア的な部分に共感出来ない所が多いが、ストーリ・テーリングの上手さを知ると、無視出来ない作家だと思う。ライフルを友とする隠遁生活を送るボブ・リー・スワガーが、依頼により1400ヤードという長距離狙撃を成功させる。そこから壮大な罠が始まり、窮地から脱出し、逆襲していくスナイパー・ボブの活躍。一転、裁判劇となるのも面白いし、その仕掛けもなかなか見せてくれる。著者は「ワシントンポスト」の映画評論チーフだけあって映画的な見せ場の作り方が凄くうまい。ストイックでハードボイルドな主人公の設定もいいし、大胆不敵で神出鬼没な行動もいい。愛敬もある。この人のストーリテーリングの巧みさは、おそらく映画的な設定作りの上手さにあるような気がしてきた。今回は脇役のFBIニューオリンズ支局員のニック・メンフィスがいい感じ。