電子竹林:Blog

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「聖母の深き淵」

柴田よしき、角川文庫。映画「女刑事RIKO 聖母の深き淵」の原作。映画はさっぱり判らなかったけど、これは結構面白かったかな。緑子<リコ>シリーズの二作目。第一作の「RIKO-女神<ヴィーナス>の永遠-」(第十五回横溝正史賞受賞作)は読んでないけど、映画「女刑事RIKO 聖母の深き淵」のあまりの説明不足に比べれば、原作はずっとよく判る(^^;)。一児の母で未婚の母である主人公の刑事生活。四年前の幼児誘拐と、主婦売春、殺人事件の絡み。複雑な設定が、映画のストーリの混乱に出ている様に思えた。映画にするなら、もっとディテールを刈り込まないといけなかったのかもしれないジェンダーと母性、これが柴田よしきの作家としての基本となるが、多少、上っ面な感じがいなめない。「OUT」の桐野夏生などに比べると切り込みが浅い。警察小説とその中の女の刑事、という部分の葛藤や苛立ちの方が面白かった。- 柴田よしきのホームページ