電子竹林:Blog

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「日蝕」

平野啓一郎、新潮社。第120回芥川賞受賞作品。異端信仰の嵐吹き荒れるルネッサンス前夜の南フランスが舞台、神学者が主人公。錬金術、異端審判、魔女裁判などが絡みあった展開。文書自体は凝っていて面白いのだけど、中身が薄いと思う。これが「薔薇の名前」と比較されるのはよく判らない。書いたのが現役大学生というには驚かされたけど、あんまり面白いとは言えなかった。アルプスより南は違う思想がある、といった時代の感覚が面白いのだけど活かされている様には思えなかった。