電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「家族狩り」☆

天童荒太 新潮社。天童荒太は「永遠の仔」が余りに面白かったので、他のも読んでみる事にする。中学の美術教師須藤俊介、その隣の家で一家惨殺、自殺という悲劇的事件が起きる。教え子の芳沢亜衣、俊介の同僚の教師清岡美保、事件を捜査する警部補の馬見原は昔長男をなくしている、その妻の佐和子は精神を病んでいる、馬見原の部下の椎村、馬見原の恋人の冬島綾女、その子供の研司、冬島綾女の夫の油井は子供への暴力で服役していた、さらに児童相談センターの氷崎游子…中心の人物だけでこれだけで、さらに脇役も多い。最初読んでいるうちは、あまりの複雑な人間関係に混乱してしまったが、中盤からはのめり込んだ。話は面白い…というか恐い。「永遠の仔」よりは推理の面白さは少なく、犯人はすぐ判ってしまう。現代的な病んだ精神というというテーマは変わらないが、随分とラストには救いがある気がする。