電子竹林:Blog

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「ストロボ」

真保裕一 新潮社。真保裕一でもミステリ、サスペンス色はほとんど無い。写真家、喜多川の人生の色々な時点での物語。50代、病床の女性を撮る「遺影」。駆け出しの時代の師匠との関係、恐喝の「ストロボ」。女流写真家と愛を交わす「暗室」。病気の20才を取る「一瞬」。学生時代の「卒業写真」。すべてが過去の記憶と絡んでいる所が、ちょっとミステリっぽい味があって面白い。暗室、スタジオと写真家の生活が舞台になっているから、馴染みが無い人には面白さが半減するだろうけど、写真漬けの生活を送って来た自分としては凄くリアリティを感じられた。写真業界を知りたい人が読んでも、面白いかも。