電子竹林:Blog

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「スーパートイズ」- Super Toys - Brian Aldiss

ブライアン・オールディズ 中俣真智子訳 竹書房短編集。表題作の「スーパートイズ」(三章「いつまでも続く夏」、「冬きたりなば」、「季節はめぐりて」)が映画「A.I.」の原作、原案になっている。「スーパートイズ」は何をやっても母親を喜ばせることの出来ないアンドロイドの物語で、映画と本質的にはそこだけが同じ。後書き代わりの一文、「スタンリーの異常な愛情-または私とスタンリーは如何にして「スーパートイズ」を「A.I.」脚色しようとしたか」はなかなか面白かった。1977年の半ばからのキューブリックとのつきあいから、いかに映画に形作られていったかが判る。しかし、スピルバーグによる映画はキューブリックらしい完成度は無い。「ピノキオ」のアイデア、青の妖精がキューブリックのアイデアだったとは驚いたけど。しかし、それをそのまま使い映画的には失敗している。キューブリックの呪縛という事か。他の話はそれほど面白くなかった。それ以前に訳がこなれていない気がする。おそらく、癖があるであろうオールディズの訳文を上手く日本語に乗せられなかったのではないか。