ラジ・リ監督。ビクトル・ユゴー「レ・ミゼラブル」の舞台、パリ郊外のモンフェルメイユの警察署。地方出身のステファン(ダミアン・ボナール)は、威圧的なクリス(アレクシス・マネンティ)、グワダ(ジェブリル・ゾンガ)と組む事になる。そして、少年イッサが起こした事件から、警察、市長、ムスリム 、少年たち、サーカス団が複雑な対立を起こし、ステファンはそれをなんとか治めようとする…。この地区出身のラジ・リ監督の初長編。2019年カンヌの審査員賞。ユーゴの小説とは内容は直接に関係ない。全体には悪人らしい悪人がいないのに、わずかなズレが大きな暴力に発展していく過程が怖い。1996年のやはり仏映画「憎しみ」を連想させる。カンヌ審査員賞というのは分かる映画。ドローンの使い方も面白い。モンフェルメイユはパリの東17Km、「レ・ミゼラブル」ではジャン・ヴァルジャンとコゼットが出会った街。