電子竹林:Blog

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「中央線の呪い」

三善里沙子 扶桑社文庫。1994年7月に二玄社から同名で刊行されたものの文庫本化。題名からは、中央線に頻発する飛び込み自殺を扱っている様に思えてしまうけど、まったく別。中央線住民(端の方だけど)として、興味を持って読み始める。『「沿線民族学」というジャンルを確立したとされる』を著者の紹介をしているけど、内容は泉麻人的な都市民俗学。貧乏文士、ヒッピー、なんて古いトコから市民運動、無農薬野菜なんてトコ、さらにラーメン、飲み屋のこだわり文化などなど。さらに東横線電通文化圏と一まとめにして中央線文化と対比させ、その<中>華思想を暴いていく…。面白いんだけど、まあ、こんなネタ一本でよく本を一冊書き上げたなあという、その腕が素晴らしい。