電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「ケイヴマン」- The Caveman’s Valentiine - George Dawes Green

ジョージ・ドーズ・グリーンハヤカワ文庫ニューヨーク、セントラルパークの中の洞窟に住むホームレスの通称ケイブマンことロミュルス。かつては著名な音楽家であったが、今はクライスラー・ビルを根城とする悪の首領スタイヴェサントが光線で狙っていると信じるパラノイア。そんなロミュルスが洞窟の前で発見された青年の死の謎を追う…。ストーリの展開に盛り上がりが無く冗長な印象を受けるが、それを上回る不思議な感覚がある。パラノイアの現実と妄想がごっちゃになった思考の流れをすんなりてしまう奇妙な体験を味わえる。また文章が、簡潔で美しく、それが元芸術家のパラノイアという不思議な世界を構築している。不思議な感覚だけに、もっと面白くして欲しかった。ちょっと残念だけど、捨てがたい。