電子竹林:Blog

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「M(エム)」

馳星周  文藝春秋。中編集。外資系企業のサラリーマン、児玉弘樹の義理の妹への妄想の「目眩」。就職活動中の内藤裕美の幼なじみの父である金子達也への恋、そしてデートクラブでの売春の「人形」。夫は失業中、小学生の息子にはいじめられっこの疑惑の中、自分は伝言ダイヤルで援助交際を続ける主婦の小川聡子の「声」。親を殺した稔、汗をかかないSM嬢にのめり込む「M」、の4作。普通の人々が、どこか精神にひっかかるような幻に落ちていく、このスタイルは馳星周らしい。中編としてはそれなりに面白いが、個人的には長編の方が好き。