パティ・ジェンキンス監督脚本(長編は初監督)。人生に絶望した娼婦のアイリーン(シャーリーズ・セロン)が同性愛者のセルビー(クリスティーナ・リッチ)と出会う事により、殺人を繰り返す事に…。アイリーンがモデルと言われる「テルマ&ルイーズ」的展開を予想していたが、そんな明るさや希望は微塵も無い。余りに絶望的な話だが実話ベースというのがそれを倍加する。事実を物語として再構築しているだろうが、人間像を堀り下げる事により事件当時の報道とはまったく異なる事実が見えてくるだろう(その点では「誰も知らない」の様)。セロンの変身ぶりと演技には驚かされる(アイリーンって何歳の設定?)が、それ以上にリッチの小動物的な視線と微妙なわがままぶりが怖い。気分爽快にはなれないが記憶に残る映画。
