電子竹林:Blog

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「高野豆腐店の春」

三原光尋監督。広島県尾道、昔ながらの豆腐を作る高野(たかの)豆腐店、父の高野辰雄(藤竜也)、娘の春(麻生久美子)。近所の理容店の繁(徳井優)、一歩(菅原大吉)たちは春の再婚相手を探し、イタリアンのシェフ・村上(小林且弥)を紹介する。一方、辰雄は病院で偶然に知り合った中野ふみえ(中村久美)と親密になるが…。三原光尋は、90年代の「燃えよピンポン」「ヒロイン!」の印象が強いけど、今回のはかなり違う。この監督作品の中では一番好き。父と娘、娘の縁談、尾道、理髪店などなど、全体に小津安二郎を思い出させる所が多数なんだが、意識しているのだろう。ちょっとしたカットや構図にも小津っぽさがある。また、市井の人々の生活からの、強いエモーショナルな物語を感じる。それでいて、意外な展開のさせ方はうまい。山田洋次のような松竹系とはちょっと違う。藤竜也麻生久美子豆腐屋親子はいい感じ。主人公が戦争体験者となると、リアルな藤竜也とほぼ同じ年齢になるが、友人たちの実年齢が一世代ぐらい差があるのはちょっと気になった。

https://takanotofuten-movie.jp/