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「震える岩」 -霊験お初捕物控 ☆

宮部みゆき 講談社文庫。本屋では時代小説のコーナに置いてある(^^)。読んでみると、確かに本格的な<捕物帳>ものと言える。解説を読むと、そもそも「歴史読本」の臨時増刊号「時代小説」1992に発表された「百年目の仇討始末」を改題、加筆したものだそうです。宮部みゆき自体、歴史物は始めてじゃないし、「かまいたち」で第十二回歴史文学賞佳作、「本所深川ふしぎ草紙」では第十三回吉川英治文学新人賞を取っている。この「震える岩」も、「かまいたち」に出てくる霊験お初が主人公になっている。どちらかというと主人公お初よりも、相棒のちょっととぼけた右京之介の方が魅力があるけど。ストーリはというと、死人憑き騒動から鳴動する岩の不思議と別エピソードの様に展開するが、最後では見事に忠臣蔵を背景とした物語に収束していく。この辺の展開が見事としか言いようがなかった。根岸肥前守鎮衛の「耳袋」の中の「奇石鳴動の事」をモチーフにしているのだけど、これだけ話を膨らませられるのは見事。解説の<捕物帳>に関する部分は、読んでないものが多いので参考になる。