電子竹林:Blog

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「心の昏き川」上 - Dark River Of The Heart -

ディーン・クーンツ、文春文庫。クーンツは、アカデミー出版から超訳(^^;)で出た「インティシティ」は、内容はともかく、訳が嫌いだったけど、これよかった。謎の男が謎の女と出会って、謎の団体に追われるという謎だらけのよく判らないストーリで引っ張っていく手腕というのは見事というしかない。クーンツ、さらにうまくなっている気がする。今回、エンターテイメント性とともに、政治的な主張が強く入っているのも注目すべき所。特に資産没収法に対して強い。著者あとがきで、「民主主義を堅固とするには、1)資産没収法に反対、2)不起訴免責特権廃止、3)特異な信条を犯罪と規定する法律制定の中止」、と明確に述べている。こういうクーンツというのも意外だった。ちなみに、解説で吉野仁が「蛇足ながら、この二作を、緊張感がまったく感じられない凡訳でなくはなく、白石・松本両氏によるよる快調かつてごたえのある訳文で読めるのは…」と書いているが、当然のごとくアカデミー出版に対して言っているのであろうなあ(^^;)。まったく、同感だけど。