電子竹林:Blog

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「ニンゲン合格」

黒沢清監督脚本、西島秀俊役所広司、管田俊、りりィ、麻生久美子哀川翔洞口依子大杉漣。交通事故で10年間、意識が無かった主人公の豊がある日、突然に目覚める。しかし、家族がバラバラになっている現実に直面する。「レナードの朝」を連想するけど、「レナードの朝」が米国的、合理的な感情の処理に終始するのに対して、「ニンゲン合格」がいかにも日本的な、感情の裏を表現しているのは好感が持てる。家族の扱い方がポイントとなっているけど、黒沢清的には、そういう素直な目論見じゃなくて、もうちょっと捻った、裏読みしないといけないのがラストでしょう。タイトルの「ニンゲン合格」というのにも、それは現れている。結構面白い、というか黒沢清の中では一番面白かった。ただ、表現しようとする事、つまりテーマは好きだけど、表現が嫌いな場面が結構ある。洗濯モノを干すシーンの長回しなど、あの意味有りげなパンとかはちょっと許せない。