電子竹林:Blog

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「クローン羊ドリー」- Clone the Road to Dolly and the Path Ahead -

ジーナ・コラータ、アスキー出版局。1996年7月5日午後5時、スコットランドのロスリン研究所で、52歳の発生学者イアン・ウィルムットによってクローンの羊ドリーが生まれた。表題から、ドリーについての物語が中心と思っていたが、実際はクローンの基礎である発生学の初歩から説明してあるのがいい。また、肯定派否定派、科学者や他の識者と倫理的な問題について広く意見を聞いているので、ジャーナリストとしては正しい態度で好感が持てる。特に最終章の人間のクローニングについては、倫理的に色々と考えさせる物がある。クローニング以前の遺伝子操作に関する考察も豊富。例えば、遺伝子の欠陥を調べる事は受け入れられるが、これは「完璧な子供症候群」を拡大させると言う。確かに映画の「ガタカ」が描く未来を見てもうなづける。すでに、今でも蒼茫にある遺伝子情報の191種を検査して、赤ん坊が順調に育つか見極める事が出来るらしい