電子竹林:Blog

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「破線のマリス」

井坂聡監督、野沢尚原作脚本、黒木瞳陣内孝則山下徹大筧利夫白井晃篠田三郎。原作は第43回江戸川乱歩賞受賞作、それも原作者自らが脚本を書いている。首都テレビの報道局、映像編集者の遠藤瑤子(黒木瞳)は、汚職に絡む殺人事件を扱った内部告発のビデオを郵政省官僚から受け取る。ビデオを元に遠藤が編集した番組を放送、それが原因で殺人容疑をかけられた麻生(陣内孝則)はTV局に抗議に現れるが…。後味が強烈に悪い。井坂聡監督の前作「Focus」も強烈に後味が悪いが。しかし、つまらない映画では無く、強烈な印象を与える。最初に観客が描いていく筋と微妙にズレて話が進んで、物語に引っ張っていかれる所も、また「Focus」みたいな感じがする。一種、独特の個性を持っている面白い監督ではある。「Focus」もメディアに対する批判みたいな意味が強かったが、また違う角度から同じ様なテーマに挑んでいる。映像を操る魔力に魅せられた遠藤の描き方は上手い。その後、原作を読んで見るとこの後味の悪さは原作の力だと思った。井坂監督の感覚に妙にマッチしたのかもしれない。