電子竹林:Blog

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「中国人民に告ぐ」

金文学 詳伝社。副題が「文化大国が聞いてあきれる-痛憤の母国批判」。著者は、中国の瀋陽朝鮮族三世で、日本文学科卒業、日本の大学での研究員としての経験も多く、比較文学比較文化などの専門家。中国、日本、韓国の文化に通じているだけあって広く公平な視点を持っている。中華思想の病理、徳と礼儀の文化はどこへ行ったか、反文明的な流氓(リウマン)文化、文化砂漠、サービス精神の欠如、人身売買、恐怖政治、焚書坑儒文化大革命の類似性など様々な内容。非常に広い時間単位でモノを見ているのがいい。中国は伝統的に反文化的という印象を受ける。面の皮が厚く、腹黒くならなければ成功しないという「厚黒学」がベストセラーになる現実や、面子の重視、極端な利己主義も印象的。国民病診断として欺瞞病、泥棒病、大同病、奴隷根性病、変革忌避病、実利病をあげている。基本的には「中国人の真っ赤なホント」、「日本人は永遠に中国人を理解できない」と同じ様なことを言っているんだけど、より辛辣な視点である。