電子竹林:Blog

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「息もできない」

ヤン・イクチュン監督脚本編集製作。韓国ソウル。家庭内暴力で母と姉を死なせ、刑務所から出所した父と暮らすサンフン(ヤン・イクチュン)。友人の取り立て屋で働き過激な暴力を使うサンフンは、ある時、女子高生ヨニ(キム・コッピ)と知り合う。ヨニもまた、強権的な父と暴力的な弟ヨンジェ(イ・ファン)の家庭に暮らしていた…。監督脚本編集製作主演のインディーズ系で、長編監督第一作。暴力でしかコミュニケーション出来ない主人公という設定はそれほど新鮮でもない。そこから一歩踏み込んだ所に面白さがある。監督主演で暴力映画というと、単純には北野武と比較してしまいそうだけど、家庭関係、人間関係、複雑な愛情と深みはこの映画の方があると思う。ちょっとしたカットや繋ぎの映像は粗っぽいが新鮮な印象を与える。最後はこうなるしかないだろう的な展開だけど、上手く結末で余韻を出している。後からボディーブローのように思い出す映画ではある。個人的にはちょっと好みではなかったが、32歳でこの才能は将来どうなるのだろうか。

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