電子竹林:Blog

はてなダイアリーより引っ越し済み、主に映画

「Nのために」

湊かなえ。都内のマンションで会社員の野口貴弘とその妻の奈央子が殺害される。東京の古びたアパート野バラ荘に住む三人、小さな島出身の杉下希美、努力家の安藤と、小説家志望の西崎、そして杉下と同じ島出身の成瀬慎司たちの証言による事件の全容…。読みやすくて引き込まれる所もあるんだけど、読み終わってみると何か物足りない。何故か、前半は安藤が女性だと思い込んでいた。全体な意味が掴めなくて、叙述的なトリックが隠されているんじゃないかと真剣になって読んでしまった。それぞれの一人称の語りにも、リアルさに随分と差がある。杉下希美はいいけど、西崎はちょっと上っ面な感じ。「少女」(id:zom-1:20090802#p2)もイマイチだったし、やはり「告白」(id:zom-1:20090125#2)ぐらいだな、良かったのは。

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