電子竹林:Blog

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「幸福路のチー」-幸福路上 On Happiness Road-

ソン・シンイン/宋欣穎監督脚本。1975年生まれのリン・スー・チー(声:グイ・ルンメイ)は米国で結婚し米国で暮らしていたが、祖母(声:吉娃斯)の訃報で故郷の台北郊外・幸福路の実家へ戻る。そこは昔とは違い近代化した街並みであったが、チーは幼い時代の金髪の同級生チャン・ベティ、母(声:リャオ・ホェイチェン)、父、祖母との様々な出来事を思い出す…。監督は京大、米国で映画を学び、台湾でアニメを作るためにスタジオを作るところから始めているのが凄いパワー。「ちびまる子ちゃん」や「じゃりン子チエ」的にほのぼのしているかと思ったら、近代史の黒い部分も背景にしていてドロドロ感もあり、いろいろ興味深い。物語はいいしキャラや動きは洗練されている。背景となる1947年の二・二八事件、独裁者としての蒋介石白色テロ(白色恐怖)時代、1987年の戒厳令解除、その後の政治家・陳水扁馬英九などと近代史をなぞっている。その他にも、台湾語と北京語、米国文化、ビンロウ、921大地震アミ族など少数民族、と色々盛り込み台湾好きにはたまらない。個人的には台湾という国のアイデンティティへの探求の物語として観ていた。東京アニメアワードフェスティバル2018で長編グランプリ、第55回電影金馬奨で最優秀アニメーション映画賞。台湾からこういうアニメが出てきたのは喜ばしい。

http://onhappinessroad.net/